1985 Fiscal Year Annual Research Report
制癌剤の高分子化と油性化による腫瘍親和性の増強に関する基礎的研究
Project/Area Number |
60010059
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
前田 浩 熊本大学, 医, 教授 (90004613)
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Keywords | 高分子結合制癌剤 / 油性化制癌剤 / スマンクス / PEG-アスパラギナーゼ / ピラン結合制癌剤 / デキストラン結合 / リピオドール / 腫瘍親和性制癌背 |
Research Abstract |
この研究は固型腫瘍の脈管上の特徴が正常組織のそれとは大きくことなっている点に着目し、腫瘍選択的に薬剤をデリバーし、副作用のない癌化学療法の道を拓こうとする研究である。そのために在来の制癌剤の分子量を増加させること、あるいは油溶化剤にして腫瘍の支配動脈より動注することによって達成しようとするものである。さらにまた、腫瘍選択性を発揮するための一般則を探ろうとするものである。 今年度の成果として、分子量その他の性状が全く異なる各種蛋白を放射性金属で標識し、それを担癌マウスに静脈注射し、体内分布等を解折した。その結果(1)分子量は約15,000〜数万のものは腫瘍血管でよく漏出する。それ以上では漏出性が悪く極めて長時間がかること。(2)この分子量範囲では血行性での回収がきわめて少く、リンパ行性の回収もほとんどないこと。(3)高分子化によって生体内(血中)持続性が高まり、薬理学的により優れた性状になることが見出された。その例としてアスパラギナーゼのポリエチレングリコール結合体、マイトマイシンのデキストラン結合体、あるいはアドリアマイシンのピラン高分子結合体で証明された。これらは、また動物の腫瘍系でも3〜数十倍母化合物よりも優れていることがわかった。次に油剤化制癌剤は主として動注法により投与するのであるが、脂質のうちイソプレノイドやレチノールがin vitroで耐性株をも感受性化することが見出された。今後のin vivoの評価が待たれる。また、油性造影剤リピオドールは油性制癌剤の腫瘍へのターゲティングとして有用であることは勿論のこと、薬剤除放のレザバーとして、さらにまた腫瘍のX線画像診断(鑑別、娘結節の存在等)と投与量設定のための重要な根拠として極めて有用であることが立証された。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Cancer. 56. 751 (1985)
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[Publications] J.Med.Chem.28. 455 (1985)
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[Publications] J.Pharmacobio-Dyn.8. 357 (1985)
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[Publications] Cancer. 55. 2405 (1985)
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[Publications] Exp.Cell Res.158. 192 (1985)