1985 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト遺伝性fragile siteと腫瘍染色体再配列に関する研究
Project/Area Number |
60010088
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Research Institution | National Institute of Radiological Sciences |
Principal Investigator |
堀 雅明 放射線医学総合研究所, その他, 研究員 (50159133)
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Keywords | ヒト染色体 / 遺伝性fragile site(脆弱部位,FS) / 腫瘍特異的染色体再配列 / 急性非リンパ性白血病 / fragile X症候群 / 葉酸感受性 / チミン飢餓 |
Research Abstract |
研究目的:発癌の多段階的過程にゲノムの再配列が密接に関与していることが細胞癌遺伝子と腫瘍特異的染色体変異の研究から示唆されている。最近、ヒト染色体上の遺伝性fragile site(脆腰部位、以下FSと略す)が腫瘍特異的染色体再配列(欠失、転座、逆位)に関係している切断部位に一致している例がいくつかの腫瘍で報告され注目をあびている。本研究はこれらの遺伝性FSが染色体再配列による発癌機構にどの程度、遺伝的素因として関与しているかを明らかにし、さらに、FSの発現機構とDNA構造を解析することにより、その遺伝的変異性の原因を明らかにして、発癌の分子機構の解明と発癌の予防に関する基礎的知見を得ることを目的とする。 研究成果:(1)一般集団におけるFSの検索-各種FSの検出条件を確立して、一般健常人を対象に検索を実施した。465人を調査した結果、既知の3群18個所のうち3群5個所のFSを検出した。また、新しいFSを第8番染色体上に発見した。FSの検出法の確立によって今後の各種癌患者群および癌多発家系を対象としたFSの疫学的調査が可能となった。(2)FSと腫瘍特異的染色体再配列との関連性-第16番染色体の逆位〔inv(16)(p13q22)〕を伴う急性非リンパ性白血病患者3例を検査して、1例に逆位の切断点に一致したFS,fra(16)(q22)が検出された。既報のデータと合せると本症患者16例中8例がFS保因者となり、特定のFSが染色体変異の素因となっている可能性が示唆された。(3)FSの発現機構の解析-葉酸感受性FSの代表であるX染色体上のFS,fra(x)(q27)の発現機構をマウス細胞のチミジル酸合成酵素欠損変異株とfragile X症候群由来細胞との体細胞雑種を用いて解析し、FS発現の原因がFS・DNA構造のチミン飢餓感受性突然変異によることが明らかにされた。また、FSへの選択的外来遺伝子導入と各種FSの培養細胞株の樹立はFSの構造と機能に関する解析的研究に重要な基礎を与えた。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Somatic Cell and Molecular Genetics. 11. (1985)
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[Publications] Japanese Journal of Cancer Research. 76. (1985)
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[Publications] Proceedings of Japan Academy. 61B. (1985)
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[Publications] Proceedings of Japan Academy. 61B. (1985)
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[Publications] Cancer Genetics and Cytogenetics. in press. (1986)