1985 Fiscal Year Annual Research Report
胚性腫瘍細胞における造腫瘍性の維持および喪失の細胞工学,分子生物学的解析
Project/Area Number |
60015001
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
高木 信夫 北海道大学, 理, 助手 (20001852)
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Keywords | 胚性腫瘍細胞 / 細胞融合 / 細胞分化 / X染色体 |
Research Abstract |
1).XO型胚性腫瘍(EC)細胞OTF9-63と雌ラットリンパ球とを融合し、その形態変化を追跡した。 融合細胞は少くとも3日間はEC細胞の形態をとどめていた。 融合4日目より、内胚葉への形態変化がはじまり、急速にその傾向は強くなる。 内胚葉状細胞は培養下での増殖力も弱く、造腫瘍性は明らかに消失している。 この形態的変化と平行して、リンパ球によって持込まれた不活性X染色体は、一且は複製も同調化し、活性をとり戻すが、4日目以後、融合細胞ではあらたな不活性化が起きる、 3H-TdRとBrdUdRの二重標識によって検討したところ、融合後5日目までに95%の細胞で再活性化が完了している証拠が得られた。 2).Feeder layerを利用することによって分化能の大きなEC細胞でも未分化状態に保つことが可能である。 しかし、OTF9-63X雌ラットリンパ球雑種細胞では1個のクローンを除き、内胚葉への分化を止めることができなかった。 この例外的クローンはOTF92個、リンパ球1個の融合産物で、ラット染色体が極端に減少していた。 雑種細胞の行動を支配しているのは主に核ゲノムと考えられる。 3).OTF9-63(Mus musculus domesticus)と11種の動物のリンパ球との融合を試みた。Mus musculus domesticusの亜種または飼育下でF1ができる別種Mus spretus,M.specilegusではM.m.domesticusとほとんど差がなく、人工受精によっても限られた数のF1しか得られないM.caroliでは、雑種細胞は分化しやすくなり、属(genus)が異なると内胚葉への分化はほとんどすべてのクローンで起こる。 科(family)以上で違うとViableな細胞ははじめからほとんど出現しない。 系統的に遠くはなれていても、通常の体細胞同志では細胞雑種形成に支障はない。 したがって、上の結果についてはマウスEC細胞に原因があると考えねばならない。 EC細胞と分化した体細胞の制御系には基本的な差があると思われる。 X染色体の活性変動はその一部を反映している可能性がある。
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Research Products
(1 results)