1985 Fiscal Year Annual Research Report
陽子線応用による悪性脳腫瘍の選択的治療法に関する基礎的臨床的研究
Project/Area Number |
60015010
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
吉井 与志彦 筑波大学, 臨医, 講師 (50110507)
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Keywords | 悪性脳腫瘍 / 陽子線 / 9L-Gliosarcoma / 実験脳腫瘍 / BrdU / ACNU / 抗BrdU抗体 |
Research Abstract |
(目的)陽子線及び放射線と相互作用を有する腫瘍親和性薬剤を用いて悪性脳腫瘍を選択的に破壊、治癒せしめる。(方法)腫瘍親和性薬剤としてS期細胞に取り込まれるBrdU,Go期細胞にも取り込まれるACNUを使い、9L-Gliosarcoma cellsを用いて、1. 両薬剤と陽子線照射併用の基礎的検討を、培養細胞時に各濃度のBrdU,ACNUを接触させた后生存細胞を1×【10^5】cells/10μlを脳内移植し、移植后2日目に陽子線照射を行って検討した。2. BrdU及び抗BrdU単一モノクロナール抗体を応用した陽子線照射併用効果の検討を、抗BrdU抗体によるS期細胞の同定法及び増殖率の算出法の確立を行い、一方実験脳腫瘍ラットにBrdUを15mg/回,8時間毎,計3回/日 腹腔内投与し、陽子線単独で脳に40Gy照射し、組織的に検討した。(結果)1.細胞増殖抑制効果はBrdU100μg/ml濃度では、60%であり、ACNUでは10μg/ml濃度では90%の増殖抑制を示した。これらの濃度では3日間接触した9L-Gliosarcoma 細胞の移植脳腫瘍に対する陽子線照射効果は、巨大な腫瘍形成の対照群に比し、両薬剤とも陽子線20Gy単独照射併用で移植腫瘍は痕跡的な生存細胞群を形成しているのみであった。2.脳内移植腫瘍に対してBrdUを3α/日投与し、その后に40Gyの陽子線単独照射を行った場合では巨大な腫瘍塊を形成する対照群に比して腫瘍径は著明に縮少していた。しかし照射時BrdUを含んだ細胞は腫瘍の34%であったが照射后の腫瘍には生残細胞が全体の90%前后占めていた。(考察)BrdU及びACNUと陽子線照射併用による腫瘍の増殖抑制効果は充分期待されるが、1回照射后の生残細胞に対しては、今后さらに効果的な薬剤の至適な投与条件、陽子線照射法が検討されるべきであると示唆された。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Neurol.Med.Chir.26-3. (1986)
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[Publications] J Neurosurg. (1986)
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[Publications] 日癌治. (1986)