1985 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
60015035
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
武部 啓 京都大学, 医, 教授 (10028318)
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Keywords | DNA修復 / 色素性乾皮症 / アタキシア / テランジェクタシア |
Research Abstract |
1.研究目的:発がんにDNA修復が関与していることは、DNA修復を遺伝的に欠損している患者の発がん頻度が高いことから確実とされている。本研究はそのような遺伝病の代表的な例である色素性乾皮症、アタキシア・テランジェクタシア、ファンコニー貧血症などの患者の発がんとDNA修復欠損の関係を調べるとともに、培養細胞を用いて、実験的に発がんとDNA修復欠損の結びつきの機構を解明することをめざす、細胞はこれら患者由来の細胞に加えて、マウス背部に近紫外光によって作成した皮膚がん由来の細胞、およびニトロソグアニジン(MNNG)で胃がんを生じやすいラットおよび正常ラット由来の細胞を用いる、指標は生存率と突然変異誘発能による。 2.研究成果:色素性乾皮症患者253例について、患者由来の培養細胞のDNA修復欠損と、患者の症状、特に皮膚がんの発生年齡、種数、数などの関係を調べた。今回の調査では、従来ほとんどみつかっていなかった、修復能がやや高い(6-30%、対正常比)患者で、9歳以下の若年例が12例確認された。そのうち4例までが、遺伝的相補性群CとF、各2例とわかり、修復能5%以下(多分全例A群)とは遺伝的に異なることが確定された。突然変異誘発が、発がん要因高感受性(生存率)と一致したのは色素性乾皮症のみであり、アタキシア・テランジェクタシア、ファンコニー貧血症はいずれも突然変異を誘発させにくいことが明らかになった。これは再症患が、DNA修復欠損ではなく、DNA複製、あるいは組換えの機構に欠損があることを示唆した。マウスおよびラット由来の細胞(皮膚がん由来を含む)では、DNA修復欠損は見出せなかった。ヒトおよび、SV40トランスフォームの細胞でがん化に伴なってみられるMer~の現象は、少なくともわれわれが樹立したマウス、ラットの細胞(がん化したものを含む)には生じていない。
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[Publications] Jpn.J.Clin.Oncology. 15-1. (1985)
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[Publications] J,Radiat,Research. 26-4. (1985)
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[Publications] Mutation Research. 145-3. (1985)
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[Publications] Mutation Research. 150-1. (1985)
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[Publications] 医学のあゆみ. 135-1. (1985)