1985 Fiscal Year Annual Research Report
成人T細胞白血病細胞の腫瘍増殖におけるIL-2レセプターの役割
Project/Area Number |
60015038
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
内山 卓 京都大学, 医, 助手 (80151900)
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Keywords | IL-2レセプチー / ATL / HTLV |
Research Abstract |
われわれは、従来より次の三点を明らかにすべく研究を進めて来た。1)ATL細胞におけるIL-2レセプター(IL-2R)発現は、どのような点で異常であるか。2)IL-2R発現異常とHTLV-I感染との関連性およびその機構。3)異常発現しているIL-2RのATL腫瘍化における役割。本年度は、このうち次の点を明らかにした。1.ATL患者白血病細胞、HTLV-I感染培養細胞株には、例外なくIL-2Rが発現しており、細胞株では特に多数(PHA刺激正常T細胞の約10倍)のIL-2Rを発現している。この発現は持続的(構成的)で、正常T細胞と異なり、特別な刺激を必要としない。2.ATL細胞は、正常活性化T細胞と同じく、高親和性、低親和性、二種類のIL-2Rを発現している。3.PAGE上、常に認められる明らかなIL-2R分子の異常はない。4.ATL細胞に特徴的なIL-2Rのリン酸化は認められない。5.ATL細胞では、IL-2によるIL-2Rの発現増強(up-regulation)をうける。6.ATL細胞のIL-2R遺伝子には、明らかな増幅や再構成は認められない。7.白血病細胞の短期(7月まで)培養系における、HTLV-I RNAとIL-2RmRNA発現はよく相関しており、両者が密接に関連していることを強く示唆している。8.大部分の患者末梢血中白血病細胞は、IL-2を加えても増殖反応を示さないが、一部の症例では、IL-2に反応して良好な細胞増殖を示す。以上の結果のうち、現時点では、持続的、構成的IL-2R発現を、ATLにおける発現異常として重視したい。また、8.の結果を考え合わせて、現在のところは、ATLにおけるIL-2Rの役割については、1)発現しているIL-2Rがautocrineあるいはparacrineの機構で、実際の腫瘍性増殖に関与している可能性と、2)ATLの腫瘍化のある段階で重要な役割をはたしたが、発症したATL患者においては、もはや腫瘍性増殖に関与していない。の2つの可能性を考えている。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Microbiology and Immunology. 29-5. (1985)
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[Publications] American Journal of Pathology. 119-3. (1985)
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[Publications] Journal of Clinical Investigation. 76-2. (1985)
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[Publications] Journal of Experimental Medicine. 162-6. (1985)
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[Publications] Nature. 318-Dec5. (1985)