1985 Fiscal Year Annual Research Report
T細胞抗原受容体遺伝子を用いた白血病成立機序の解析
Project/Area Number |
60015040
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
前田 道之 京都大学, 結核研, 助手 (20027329)
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Keywords | ATL / T細胞 / IL-2 / IL-2受容体 / T細胞受容体遺伝子 / 遺伝子再構成 / T細胞株 / T細胞クローン |
Research Abstract |
成熟T細胞の単クローン性増殖により成り立っている成人T細胞白血病(ATL)では白血病細胞にT細胞に特異的な増殖因子であるIL-2の受容体(IL-2R/Tac抗原)の発現異常がみられる。この事実から我々はATLの成立過程においてIL-2/IL-2R系が重要な役割を果しているものと考え研究を進めてきた。成熟T細胞では個々のT細胞クローン特異的にT細胞(抗原)受容体β鎖遺伝子の再構成がみられるとの知見に基づき、サザンハイブリダイゼーションを利用してT細胞のクローン構成の解析が可能となった。そこで、ATL白血病細胞にみられるIL-2Rの発現異常がIL-2反応性の亢進を反映するものであるかどうか明らかにするために、ATL患者未梢血よりIL-2依存性のT細胞株を多数樹立し、増殖するT細胞中に白血病細胞に由来するクローンが存在するかどうかを上記のクローン解析法を用いて調べた。その結果、ATL症例の大半においてはIL-2により増殖するT細胞は白血病細胞クローンではなく、白血細胞と混在するHTLV-【I^+】の非白血病T細胞であることが明らかとなった。一方、慢性型のATL症例において、白血病細胞に由来するT細胞クローンが繰り返しIL-2により樹立されてきた。即ちATL白血病細胞中にはIL-2反応性を保持しているものが存在した。更にATL由来のIL-2依存性T細胞株の中数株がIL-2依存性を離脱しin vitroトランスフォーメーションをおこした。このようなT細胞ではIL-2Rの発現異常があるにもかかわらずIL-2には反応しなくなりATL白血病細胞様の性状を呈するようになった。以上の結果を総合すると、HTLV-Iウイルスの感染にはじまるT細胞の腫瘍性増殖能獲得過程でIL-2/IL-2R系が重要な役割を果していることが強く示唆されたものと理解される。上記のβ鎖遺伝子再構成を指標としたT細胞のクローン解析法がT細胞性腫瘍特にATLの診断、病態解析等に非常に有効であることも合わせて確認された。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] J,exp,med,. 162. 2169 (1985)
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[Publications] J,exp,med,. 161. 924 (1985)
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[Publications] J.immunol. 134. 1623 (1985)
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[Publications] J.immunol. 135. 3995 (1985)
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[Publications] Nature. 320. 75 (1986)