1985 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
60015047
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
森 浩志 大阪大学, 医, 助教授 (40028519)
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Keywords | 下垂体腫瘍 / ドーパミン / ブロモクリプチン / プロラクチン / 形態計測 |
Research Abstract |
ヒト下垂体腫瘍の約2/3を占めるプロラクチン産生腫瘍(PRLoma)と成長ホルモン産生腫瘍(GHoma)にはdopamin agonistであるoromocriptine(CB-154)が奏効する。その抗腫瘍作用はDNAのmessenger RNAへの転写の阻害と、分泌顆粒の細胞外放出(開口分泌)の抑制によるものであり、可逆的なものと考えられてきた。我々はこれに疑問を懐かせる現象を発見したので、ヒトおよびラットのPRLomaについて作用機構を再検討した。 CB-154治療によるヒトPRLomaの腫瘍サイズの縮小は、個々の腫瘍細胞の縮小(細胞抑制作用)と細胞懐死による腫瘍細胞の数の減少(細胞傷害作用)によることを明らかにした。また治療中止後の腫瘍の再増大は懐死を免れた細胞の再増大と増殖によることも明らかにした。すなわち、ヒトPRLomaの腫瘍細胞の大部分は細胞抑制作用に感受性であるが、細胞傷害作用には感受性と抵抗性の二つのpopulationのあることが示され、そのpopulationの混在の程度の違いが、各患者の治療効果の違いに反映されていると思われる。 細胞抑制作用の一つの機構は、分泌顆粒の開口分泌の抑制と理解され、これによって血中ホルモン濃度の著明な低下が説明されている。しかし、CB-54治療によるヒトPRLomaの変化を形態計測学的に解析すると、分泌顆粒の小型化と開口分泌の増加が見察された。この所見はCB-154による細胞傷害作用の明らかでない女性ホルモン誘発ラット PRLomaおよびヒトGHonaでも認められ、いずれの場合にも血中ホルモン濃度は著明に低下している。CB-154は恐らくPRL(GH)geneのDNAからmRNAへの転写のみを選択的に阻害するため、PRL含量の少ない、組成の異なる分泌顆粒が形成され、その分泌顆粒の開口分泌の亢進は血中PRL濃度の上昇に寄与しないと考えられる。
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[Publications] Cancer. 56. 230-238 (1985)
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[Publications] Acta Neuropathol.68. 87-92 (1985)
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[Publications] 電子顕微鏡. 20. 126-133 (1985)
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[Publications] Cancer Res.46. (1986)
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[Publications] Cancer Res.46. (1986)Anticancer Res.