1985 Fiscal Year Annual Research Report
DNA鎖を切断する制がん抗生物質の作用の分子機構の研究
Project/Area Number |
60015050
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
上杉 晴一 大阪大学, 薬, 助教授 (70028851)
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Keywords | 化学合成DNA / ブレオマイシン / 制がん剤 / アラビノシルC / イノシン / DNA鎖切断機構 |
Research Abstract |
本研究の目的は、合成短鎖DNAを用いて、ブレオマイシンやダウノマイシン等のDNA鎖切断機構を明らかにすることである。今年度はブレオマイシンに的をしぼり、切断されやすい塩基配列を一ヶ所ないし二ヶ所含む、自己相補的なドデカデオキシヌクレオチド、d(C-C-C-C-A-G-C-T-G-G-G-G)(【1!_】),d(G-G-G-G-A-G-C-T-C-C-C-C)(【2!_】),およびそれらの誘導体を合成した。 【1!_】をブレオマイシン-Fe【II】-【H_2】【O_2】で処理すると、G-C間で切断が起こり、主にd(C-C-C-C-A-G-p)-C【H_2】COOHとd(pT-G-G-G-G)が得られ、微量成績体として3′末端にOH基を持つ、d(C-C-C-C-A-G)も得られた。この最後の成績体は今までに知られていなかったものであり、ブレオマイシン反応には2種類以上の経路があることを示唆すると思われる。 【1!_】の7番目のdCをリボCおよびアラビ)Cに変換したものを同様に処理すると、前者はほとんど切断されなかったが、後者はdCの場合と同程度に切断された。 【2!_】をブレオマイシンで処理すると、G-Aの間で主に切断が起こり、次いでG-Cにも切断が起こった。 【1!_】のG-C部をI-Cに変換すると、I-C間も含め3ヶ所で切断が起こった。Gを2位のアミノ基のないIに変換すると、塩基配列特異性は低下するが、切断は起こることがわかった。
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[Publications] FEBS Lett.182-2. (1985)
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[Publications] J.Biomol.Struct.Dynam.3-2. (1985)
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[Publications] Chem.Pharm.Bull.34-1. (1986)