1985 Fiscal Year Annual Research Report
発癌プロモーターにより誘導されるヒト培養細胞の分泌蛋白の研究
Project/Area Number |
60015051
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
内田 驍 大阪大学, 国立大(その他), 教授 (40029781)
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Keywords | 発癌プロモーター / 分泌たんぱく質 / c-myc遺伝子 |
Research Abstract |
従来発癌プロモーターを培養細胞に作用させる実験は数多く報告されているがヒト培養細胞を用いたものは少い。この研究では発癌プロモーターのヒト培養細胞の分泌たんぱく質に対する効果を調べ、発癌プロモーターの作用を知ることを目的とする。ヒト肝癌培養細胞株であるHuH-6,Cl-5細胞にTPAを作用させると、3時間以内に分子量約4万6千(p46)のたんぱく質が細胞外へ分泌されてくる。このp46の分泌量はTPAの濃度に依存している。TPAと同様な活性を持っと言われているteleocidinやapliciatuxinでも同じように誘導する。しかし発癌プロモーター活性をもたないフォルボールエステル誘導体ではp46を決して誘導しない。アクチノマイシンD存在下でTPAを作用させてもp46は誘導されないことから、このたんぱく質の誘導はTPAによって転写レベルでの調節をうけているものと考えられる。なおp46は崩壊産物でなく、糖たんぱく質であるが燐の附加はみられなかった。p46は肝癌培養細胞の分泌蛋白であることから、生体内では血清中に存在していると考えられ、2種類の抗ヒト血清抗体と反応させたが、いずれの場合も沈降しないことから、未知の蛋白である可能性が強い。別の培養肝癌細胞であるHu-H-7Cl-4に対してもTPAを作用させると細胞密度が少いときに顕著な差がみられ、極めてわずかであったp46の分泌が増加するとともに分子量約5万7千の蛋白も著明に誘導した。ラウスLTRにc-myc遺伝子を結合したプラスミッドを、Hu-H-7Cl-4に導入したところ、p46の分泌をTPAの場合よりも強く誘導した。これがp46であることは2次元電気泳動による解析から確認された。myc遺伝子の導入によりp46の培地中への定常的な分泌がみられるようになったことからp46を得やすくなり精製への可能性が強くなった。そこでp46の精製を試み、現在SDS電気泳動でほぼ単一なバンドとして得られる条件を知ることが出来た。
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[Publications] CANCER,RES.45. (1985)
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[Publications] Exp,CELL,RES.152. (1985)
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[Publications] J,Bicl.CHEM.261. (1986)
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[Publications] J,Bicl.CHEM.261. (1986)PRC.NATL,ACAD.SCI.USA.