1985 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
60015060
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
井出 利憲 広島大学, 医, 助教授 (60012746)
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Keywords | 増殖誘導 / 細胞周期 / 細胞増殖 / GO期 / 温度感受性変異 / 体細胞遺伝学 / オンコジン |
Research Abstract |
研究計画に従って以下の実積を得た。 1.Go期特異的温度感受性異細胞株の分離および相補群への分類:フィッシャーラット由来の3Y1細胞より変異株118クローンを得たが、Go期脱出にかかわる機能に関してのみ温度感受性であるようなtsJT60型の変異株はなかった。しかし従来より分離していた200株を越えるなかから、高温ではGo期へ進入し長期間生存し得る興味ある変異細胞を2相補群発見することができた。 2.tsJT60細胞の変異遺伝子機能と既知オンコジン機能の関係:(1)増殖誘導時におけるC-fos、c-myc、p53の発現は低温、高温ともによく誘導されており、親株の3Y1の場合と違いがなかった。(2)Go期の細胞にV-ras、V-mycなどのDNAを顕微注入すると前者では高温でS期へ進行するようにみえたが予備的結果に留まった。 3.tsJT60細胞の変異機能の働らく細胞周期上の時点は、増殖誘導後9時間までの間と推定された。Go期の細胞を低温で増殖誘導するとタンパク合成、RNA合成とも上昇するが、高温では完全に抑制された。種々の増殖因子とその組合せの内で、血清とEGF共存のみがGo期の細胞を高温でもS期まで進行させ得た。 4.アデノウィルス5型による本変異細胞のトランスホーム細胞は、E1B遺伝子欠損変異ウィルスによるトランスホーム細胞が、高温で著るしい致死性を示した。アデノウィルス12型によるトランスホーム細胞は、このような性質を示さなかった。 5.変異機能を相補する正常遺伝子の単離:上述のような、E1B欠損アデノウィルス5型によるトランスホーム細胞を用いることにより、正常DNAをトランスフェクションして野性型表現型に復帰する細胞を高温で選択、分離できる可能性が出てきた。まず、neo遺伝子のトランスフェクションにより、トランスフェクション効率上昇、効率よいクローンの分離などの方法改良を行なった。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 日本癌学会総会記事(第44回,於東京). 174 (1985)
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[Publications] 日本癌学会総会記事(第44回、於東京). 218 (1985)
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[Publications] Cell Struct. Funct.10-4. (1985)