1985 Fiscal Year Annual Research Report
マクロファージの発生,分化,成熟とその腫瘍性増殖の病理学的解析
Project/Area Number |
60015079
|
Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
高橋 潔 熊本大学, 医, 教授 (70045631)
|
Keywords | マクロファージ / 個体発生 / 腫瘍性増殖 |
Research Abstract |
1.単球性白血病、組織球性肉腫、悪性線維性組織球腫(MFH)、悪性組織球症、histiocytic medullary reticulosis(HMR),familial hemophagocytic reticulosis(FMR),histiocytosis X(HX)などの70例の材料に加えて、新たに106例を全国の大学や病院から収集し、検索した。(1)単球性白血病のうちで未分化型については、白血病細胞は未熟で、単芽球としての性格を把握することが困難であった。 (2)MFHのうち2例に炎症性線維性組織球腫(IFH)を経験した。IFHは類白血病反応を呈し、好中球遊走因子の産生、分泌が確認され、同時にコロニー刺激因子産生腫瘍の可能性が指摘された。 (3)HMRは特有の組織像を示し、一つの独立疾患とみなされるのに対し、悪性組織球症には雑多な症例が含まれ、これを独立疾患とみなすことは困難であった。 (4)HMRはFHRと同様貧食能の著しいマクロファージ(Μφ)の増殖とみなされた。FHRと鑑別を要するhemophagocytic vira syndrome(HVS)について検討すると、HVSにはEBウィルス陽性を示すものがあり、組織学的にFHRに類似するが、肝やその他の組織に炎症性変化がみとめられた。 (5)HXに包括されるLetterer-Siwe病、Hand-Sch【U!¨】ller-Christian病、骨好酸球性肉芽腫について病変分布は異なるが、増殖細胞は抗Μφモノクロナル抗体、la抗原、S-100蛋白陽性で、貧食能に乏しく、Μφの一亜型とみなされた。 (6)組織球性肉腫のなかには貧食能の著しい症例のほか、HX細胞類似のものもみとめられた。 2.ヒト、マウス、ラット胎児のΜφの発生、分化過程を追求した結果、Μφには単球系由来のもののほか、未熟胎生Μφから直接分化、成熟するものがあり、卵黄嚢間葉層内に初発する。この種の胎生Μφは血中にでて、血中を循環する特性を有し、肝原基を始め胎児の各所組織に移動する。組織内で胎生Μφは活発に分裂、増殖し、成熟する。ことに肝原基における胎生Μφは胎児各所組織へのΜφの供給源となる。Μφは胸腺原基内でla抗原を獲得し、この種のΜφは Langerhans細胞、interdigitating cellsへ分化する細胞とみなされた。
|
Research Products
(5 results)
-
[Publications] 日本網内系学会会誌. 25-1. (1985)
-
[Publications] 日本網内系学会会誌. 25-2. (1985)
-
[Publications] 細胞. 7-5. (1985)
-
[Publications] Third International Kupffer Cell Symposium. (1985)
-
[Publications] 病理と臨床. 4-2. (1986)