1985 Fiscal Year Annual Research Report
がんの化学予防に有用な天然化合物に関する基礎的研究
Project/Area Number |
60015084
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
岩島 昭夫 京都府立医科大学, 医, 教授 (70079705)
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Keywords | がんの化学予防 / イニシエーション / プロモーション / 天然化合物 / グリチルリチン / デヒドロエピアンドロステロン |
Research Abstract |
発がんにはイニシエーションとプロモーションの過程のあることが明らかにされており、これらの過程をそれぞれ防止するものを検索する必要があるが、本研究においては、特にプロモーション過程の抑制について重点を置いて検討した。 天然化合物を種々スクリーニングしたところ、発がんプロモーターの作用を抑制するものが、多数見い出された。 それらの化合物のうち、いくつかのものについては、皮膚二段階発がんを抑制することを実証できた。 特に、グリチルレチン酸、デヒドロエピアンドロステロン(DHEA)などは、抗プロモーション作用が強力であったので、本年度はこれらについてさらに検討を加えた。 まず、グリチルレチン酸の配糖体であるグリチルリチンについて調べたところ、肝臓発がんのプロモーション過程を抑制することを見い出した。 次にDHEAについて、多段階のプロモーション過程のうち、どのステップを抑制することによって発がんの抑制をするのかについて検討した。 はじめに、プロモーションの第一段階のみにDHEA処理を行なった場合、発がんを抑制しうるかどうかの検討を試みた。 その結果、DHEAは、第一段階のプロモーション過程を抑制する効力を持っていることが証明されたと同時に、それのみでも十分強い発がん抑制の達成されることが明らかとなった。 これに続いて、第二段階以後のプロモーション過程に対するDHEAの効果を検討中である。 次に、種々の抗プロモーターの作用機序を解析したが、それぞれの作用点に統一性がみられず、確定的な結論を出せるようになるまでには、今後さらに広い範囲にわたる検討が必要である。 ただ、【Ca^(2+)】の関与する系が重要であることは確実であり、すでにいくつかの抗プロモーターは、【Ca^(2+)】-カルモジュリン系の阻害を介して作用を発現しているものと考えられる結果が得られているので、今後重点点に検討すべきところであると考えられる。
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[Publications] Biochem.Biophys.Res.Commun.128-1. (1985)
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[Publications] Biochem.Biophys.Res.Commun.128-3. (1985)
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[Publications] Biochim.Biophys.Acta. 821-1. (1985)
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[Publications] Jpn.J.Cancer Res.77-1. (1986)