1985 Fiscal Year Annual Research Report
豪雨災害被災地の再生に伴う災害環境の変化の追跡・評価と防災意識の定着化について
Project/Area Number |
60025042
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
伊勢田 哲也 長崎大学, 工, 教授 (60039675)
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Keywords | 土砂災害 / 斜面崩壊 / 水抜き / 流出解析 / 土中浸透量 / 流域管理 / 都市水害 / 都市災害 / 復旧 |
Research Abstract |
本研究は、昭和57年7月長崎豪雨による災害復旧をケーススターディとして、再生に伴う災害環境の変化の追跡・評価と防災意識の定着化を調査したものである。各研究班について得られた結果の概要をまとめると、以下のとおりである。 1)土砂災害 土砂災害防止用の構造物(擁壁)の安全性を長崎市内の斜面を事例に調査・解析した。その結果、斜面崩壊の防止には、排水施設が重要な役割を果すことを示した。排水施設に目づまり防止の配慮が必要で、降雨直後に排水状態を点検すべきとの結論を得た。 2)河川災害 豪雨時における水防災システムを完備するためには、予測精度の高い流出解析を行う必要がある。そのため、昭和59年度に引き続いて、昭和60年度も浦上川上流の試験流域で水文観測を行い、流出流量に寄与する雨水流の土中浸透量について調べた。併せて、土中浸透量の評価ならびに強雨時の予測を行うために、3次元有限要素法を用いたシミュレーションモデルを開発した。このモデルを用いて各種流域の土中浸透量を評価すれば、既に提案している変形雨水流法により、水文資料の乏しい流域でも精度よく流出解析を行いうる。 3)都市災害 都市災害の復旧過程を再調査して、水害後新たに導入された防災対策を明らかにした。この結果、ハード面の対策として設備のかさ上げの他に、防水板、防水扉の導入・システムのブロック化・ネットワーク化が図られていることが判明した。また、ソフト面では、コンピューターを利用した災害情報処理システムなどの災害情報の収集・復旧体制に改善が見受けられた。特に、建物地下室に設置された建物付属設備の冠水被害の実態・復旧・防水対策および防災意識の定着化についてアンケート調査を実施した。この結果、今後の建物付属設備の防災対策について提言を行った。以上の成果をもとに、被災地の再生に伴う災害環境の変化と防災力の向上を評価した。
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[Publications] 第4回自然科学会学術講演会要旨集. (1985)
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[Publications] 自然災害科学. 第4巻-第2号. (1985)
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[Publications] 土木学会: 第30回水理講演会論文集. (1986)
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[Publications] 昭和60年度土木学会西部支部研究発表会概要. (1986)
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[Publications] 災害の研究. 第17巻. (1986)