1985 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
60030036
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
浅井 富雄 東京大学, 海洋研, 教授 (80025288)
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Keywords | 大気汚染 / 広域大気汚染 / オキシダント / オゾン / ナイトスモッグ / 山谷風 / 海陸風 / 局地風 |
Research Abstract |
本年度は3年計画の最終年度であるので、前2年の夏に実施した関東平野・佐久・上田・長野盆地及び日本海沿岸にいたる広域の大気汚染物質と局地風の立体観測で得られた資料に、アメダス気象資料、大気汚染の常置モニタリング資料を加えて、大気汚染物質の内陸部への広域拡散の実態と機構について考察した。 夏期、高気圧下の晴天日に上田・長野盆地で夜間オキシダント高濃度汚染は、次のような幾つかの機構が組み合わさって発生する。 (a)海陸の日平均温度の違いによって生じる陸向きの風が、いわゆる海陸風循環を大きく非対称化し広域的な海風を形成する。この機構によって、中緯度地方では内陸部が平坦な場合に海風の侵入範囲が数10kmであるのに対し、広域的な海風は更に内陸部奥深くまで侵入する。 (b)内陸に山岳地帯がある場合には、differential heatingによって山岳地帯を中心として強い熱的低気圧が形成し、これに向って周辺地域から風がふきこむ。 (c)総観規模の高気圧に伴って沈降性安定層が形成され、この安定層が運動量の上方への拡散を抑制して、下層大気中の海風、谷風などの局地風を結合する。このような機構によって下層大気中には地上風速の比較的大きな中規模局地風系が形成される。中規模局地風系としては、関東地方を覆う太平洋側からのものと、日本海側からのものの2つが形成され、13時頃から20時頃まで維持される。この2つの中規模風が申信地方に侵入して、収束線を形成する。収束線は熱的低気圧の中心位置をとおるが、長距離輸送された汚染物質はこの地点まで到達する。 (d)夜間広域海風の消滅後は、山風によって内陸盆地内へ汚染気塊は流入する。なお、正午過ぎには関東平野中部に高濃度汚染域が形成されることが必要条件である。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] 京大防災研年報. 第28号B-2. (1985)
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[Publications] J.Clim.and Appl.Metor. 4. (1985)
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[Publications] Atmos.Environment. Vol20-4. (1986)
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[Publications] J.Meteor.Soc.Japan. 63. (1985)
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[Publications] 科学. 55. (1985)