1985 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
60030045
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Research Institution | Shiga University |
Principal Investigator |
鈴木 紀雄 滋賀大学, 教, 教授 (90025354)
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Keywords | ヨシ群落 / 水浄化能力 / 湖岸の生物群集 / 植物プランクトン / 魚類 / 琵琶湖 / 霞が浦 / 千曲川 |
Research Abstract |
1 ヨシの生態 ヨシの純生産量は23.0-38.9g/【m^2】・日で、最大現存量は約4Kg/【m^2】(琵琶湖)-約2Kg/【m^2】(霞が浦)であった。分解速度(K)については枯死茎は16×【10^(-4)】、生体茎は47×【10^(-4)】、枯死葉は82×【10^(-4)】、生葉は156×【10^(-4)】であった。 2 ヨシの窒素、リンの含有率 窒素の含有率は成長の初期で3-4%、後期は1.5%、リンの含有率は4月で0.3-0.4%、9月で0.1%以下と季節変化を示した。窒素およびリンの含有量は琵琶湖や千曲川の桝綱用水のヨシの方が霞が浦や千曲川の下之条のものより高かった。 3 琵琶湖におけるヨシ群落内の水浄化能力 ヨシ地帯付近のクロロフィルは17-28mg/【m^3】(8月上旬)、26-37mg/【m^3】(8月下旬)非ヨシ地帯付近は15-39mg/【m^3】(8月上旬)39-41mg/【m^3】(8月下旬)で前者は後者より濃度が低く、ヨシ群落内部と外部の湖水を用いた植物プランクトンの培養実験でもヨシ群落内部の方が増殖量が低いのでヨシ群落は植物プランクトンの増殖をおさえることがわかる。 4 ヨシ付着生物の栄養塩吸収量 深度1cmあたりのヨシ表面積は平均して183-431【cm^2】/【m^2】で、そこにつく付着藻類は特にアンモニア態窒素の吸収が激しい。ヒメタニシの存在は植物プランクトンの増殖を著しく抑える。 6 ヨシ付近の魚 5月頃のヨシ地帯およびその周辺に住むタナゴ類とフナの仔稚魚の個体数は水草地帯を少しでも離れると著しく減少する。仔魚期では水面近くのワムシ類を主食とするが、稚魚期には水草や湖底の付着藻類を主に摂取するようになる。
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