1985 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
60030066
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Research Institution | 宮崎医科大学 |
Principal Investigator |
常俊 義三 宮崎医科大学, 医, 教授 (40108585)
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Keywords | 自動車排ガス / 生体影響 / 道路周辺 / 疫学調査 |
Research Abstract |
自動車道路周辺の大気汚染は、一般環境大気汚染と異り質的にも量的にも異った様相を呈している。従って、人体影響についても一般環境大気汚染と異った影響の可能性が考えられる。 本研究班は自動車沿道住民の生体影響を明らかにするため、沿道周渡の汚染の解明、人体影響を把握するための基礎的な検討を行った。 沿道汚染の現状については、環境基準達成率が悪い粒子状物質に着目し、環境基準適合の判断には98%を用いる方が妥当であること、また、昭和50年代前半迄は、沿道であっても、用途地域別にみた汚染に較差がみられていたが今日ではみられなくなったこと、自動車のような低煙源の場合は200〜300m迄の間に主として沈着により除去されてしまうことを明らかにした。 生体影響については、汚染のうち、最も注目されるN【O_2】に関して、モルモットを使った動物実験を行い、N【O_2】暴露に伴う生理的、生化学的な変動を明らかにし、N【O_2】暴露によるぜん息発作成立機序についての検討を行い、Mast Callを介しての化学物質の遊離による可能性が大きいことを示唆する結果を得た。また、閉塞性肺疾患成立に関与すると考えられているDesmosineについては、野外調査に用いることを前提とした測定法の開発を行い、少量の血液量で測定が可能な測定法を開発した。野外調査については、千葉、大阪の幹線道路住民を対象とした調査で、沿道50m以内で喘息、喘息性気管支炎の有症率が沿道50m以遠にくらべ僅かに高率であり(沿道50m以内と以遠のN【O_2】の差は、0.005ppm)また、ぜん息児、ぜん息性気管支炎のIgEは400IU/ml以下を示すものが多いことから、個体の素因(アレルギー)によらないぜん息、ぜん息性気管支炎の発症の可能性が明らかにされた。この点については、大気汚染物質のMast callを介してSRA.等の化学物質を遊離することによるものと考えられるが今后の検討が必要である。
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