1985 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
60035016
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
永田 豊 東京大学, 理, 教授 (80011493)
|
Keywords | 河川水 / 温排水 / 沿岸滞留現象 / 地球自転効果 |
Research Abstract |
海洋中に放出された河川水・温排方は、その広がりがロスビーの変形半径を越すようになると、地球自転の影響を受けて、水平方向の広がりが抑制される。地球自転の影響下での放出水の振舞については、定性的なことはかなり明らかにされているが、その特性の各種パラメータに対する依存性については十分検討されていない。そこで我々は回転の効果を強調した形の回転水槽実験と、より現実的なパラメータ範囲についての数値実験を平行して行なった。水槽実験では、本年度も昨年度にひきつづき、コリオリの因子・放水流量・放出水密度・放出角度などの変化が、低密度水塊の形状や広がり方にどの様な影響を与えるかについて調べ、いくつかの実験式を得ることができた。さらに低密度水の外縁に生じる不安定とそれに引き続いて起こる水塊の分裂(拡散混合を加速すると考えられる)の基本的な性格を明確にするために、放出口を水槽の中央に移した実験を追加した。その結果によると、放出が水塊の外縁の位置でそれに沿う形で行なわれた場合、水塊の分裂が著しく加速され、その加速が放水流速に大きく依存することが示された。数値実験においては、現実的な規模の温排水においても、すでに地球自転効果が有意に効くことは前年度までの研究で示されていたが、今年度は各種のパラメータを変化させた実験を追加し、それがどのように低密度水の振舞に影響するかを調べた。とくに水塊の形状に関しては、鉛直の渦動粘性・拡散係数の選び方が支配的な要因になることが示されている。水槽実験の結果との差異もほとんどこれによって説明できるように思われるが、現実的な予測公式を作る際にも、この二つの係数の選び方が予測の成否を決定する最大の要因となろう。しかし、この渦動粘性・拡散係数の決め方は、実測に即して行なわれるべきであるから、今後の研究の方向としてはこの係数をいかに正確に決めるかを目指すべきであろう。
|
Research Products
(1 results)