1985 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
60035037
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
西村 淳 京都工芸繊維大学, 工芸, 助教授 (10107352)
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Keywords | 水銀 / 重金属の溶媒抽出 / 濃縮 / 大員環シクロファン / フタルアミド酸誘導体 / 再生利用 / スチレン誘導体 / カチオン環化反応 |
Research Abstract |
本年度の研究実施計画を再録すると、【◯!1】原料オレフィンの合成法の確立、【◯!2】それを用いたカチオン環化共2量化反応による大員環シクロファンの合成、【◯!3】得られたシクロファン上への官能基導入法の確立、【◯!4】その液膜を用いた重金属の取り込み能の検討の四点とまとめであった。以下各々について、実績の概要を述べる。 【◯!1】本法のために開発したグリニヤールカップリング反応改良法を用いて、該当するオレフィン数種を合成した。収率は良好であり、合成法の確立という目的は達成出来た。結果はまとめてBCSJに発表した。 【◯!2】上記オレフィンを共2量化反応条件下に処理したが、直鎖状オリゴマーのみ生成した。環化能が低くコモノマーの存在が環化に不利に働くと判断して、これらのオレフィンを単独でカチオン環化させたところ、[3.2.3.2]パラシクロファン及び[3.3.3.3]パラシクロファンが、それぞれ67、62%の良好な収率で得られ、この目的も達成出来た。 【◯!3】官能基導入反応を別途検討した。モデル化合物としてヘキサデシル基を有するアントラニル酸を目指した。現在その原料であるアミド酸まで合成している。次に述べるようにこの段階で重要な性質が見つかったので、アントラニル酸へのステップは現在検討の段階である。 【◯!4】得られたヘキサデシル基を持つアミド酸の液膜を使った重金属捕捉能の検討を行った。重金属に対してこのアミド酸を等モル使用しヘプタンへの金属の抽出を試みたところ、【Hg^(++)】(抽出率100%)>【Cu^(++)】 (72%)>【Ph^(++)】(65%)>【Cd^(++)】(48%)>【Co^(++)】(47%)>【Ni^(++)】(39%)の順に 抽出されることが判明した。特に【Co^(++)】について詳細に検討したところ希酸を用いた逆抽出による重金属の濃縮も可能であり、さらに逆抽出後のアミド酸-ヘプタン溶液に、第一回目の抽出の約70%の抽出能が認められ、再生利用可能なことが、明らかとなった。このように新しい溶媒抽出剤の開発に成功した。
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