1985 Fiscal Year Annual Research Report
環境汚染物質ウレタンガスによるマウスでの染色体毒性,体細胞突然変異と発癌性
Project/Area Number |
60035038
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
坂本 幸哉 大阪大学, 医, 教授 (60028280)
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Keywords | ウレタンガス / 自然昇華 / 発癌 / 体細胞突然変異 / マウス |
Research Abstract |
ウレタンは医薬品としての使用は禁止されたが工業的には多目的な用途で知られている。しかも、ウレタンは昇華性に富み、そのガスはマウスで、高率に奇形や染色体異常、又、ショウジョウバエで、強い変異原性を示すことが60年度研究でわかった。本年度は、ウレタンがスによるマウスでの体細胞突然変異と発癌性を中心に調べた。 1)ウレタンガスによるマウスでの体細胞突然変異の誘発:毛色劣性遺伝子をホモにもつPT雌とHT雄を交配し、妊娠10日目にウレタンガス(351.8ppm)を24時間吸入させた。【F_1】(a/a,b/+,【PC^(ch)】/++,d/+,Cn/+,Pa/+,Pe/+)を生後6週で屠殺し、突然変異による毛皮中のスポットを検出したところ、対照群2.9%に対し、10.3%に体細胞突然変異が検出された。 2)ウレタンガスによるマウスでの発癌:上記ビニールハウス中で、4週齢のJCL:ICRマウスを6,24,48,96,168時間飼育した。吸入後5ヶ月で屠殺したところ、非吸入群6/99(6.1%)に対し、吸入群では、それぞれ、40/79(50.6%),38/40(95.0%),68/70(97.1%),83/86(96.5%),6/6(100%)と高率に腫瘍(肺腫瘍、リンパ性白血病等)が誘発されていた。肺当りの腫瘍数は、対照群0.06に対し、吸入群では0.67,10.7,18.6,11.5,11.8であった。わずか6時間の吸入でも、半数以上のマウスに腫瘍が発生することがわかったので、より低濃度のウレタンガスによる発癌実験を行うことが必要となった。 3)ヒト生活環境下で自然昇華したウレタンガスによるマウスでの発癌;1時間に4回換気されるビニールハウス中で、4週齢のJCL:ICRマうすを飼育した。マウスケージの横に20gのウレタンの結晶を放置し、自然に昇華する条件(18.7ppm)でウレタンガスの吸入実験を行っている。現在のところ高率に腫瘍が発生している。
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[Publications] 病態生理. 4-12. (1985)
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[Publications] 実験医学. 3-3. (1985)
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[Publications] 産婦人科の世界. 37-1. (1985)
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[Publications] GENET.TOXICOL.ENVIRONMENTAL CHEMICALS.(1985)