1985 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
60035041
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
坪田 博行 広島大学, 総科, 教授 (70013555)
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Keywords | 窒素 / リン / プランクトン / 底生生物 / 懸濁粒子 / 低次生物生産 / 物質循環 / 感潮河川域 |
Research Abstract |
1.概況 太田川の本川-元安川を主フィールドとした。年4回の総合調査と、それらをつなぐ定期的及び連続観測よりなるフィールド調査、及びこれを補いデータ解析を助けるための室内実験を行った。60年6〜7月の連日の降雨と特に7月初旬の大雨のために、実験水域は洪水状態が続き、付着生物や有機低質の流亡など河床が荒廃した。河床の状態が一応回復し始めたと見られる8月22日(満潮時)11月8日(干潮時)11月9日(満潮時)61年1月30日(満潮時)に総合調査を行った。 2.水質と底質 (1)河川水と海水との混合による塩分変化に伴う各種成分の挙動を室内実験で確認した。単純希釈による理論曲線(TL)とくらべた。無機態の溶存リン酸・硝酸・亜硝酸・ケイ酸はTL上にのる。懸濁粒子量と溶存有機態窒素はTLより高濃度側となった。溶存有機態リンとアンモニアは懸濁粒子との共沈又は吸着が見られた。(2)現場では、ケイ酸を除いて室内実験と一致する結果を得た。たとえば、水温と塩分から確認されたフロントの近くの中層で高濁度水が見られた。(3)定点の連続観測結果を満潮時と干潮時に分けて、各種成分を深さ及び塩分に対してプロットすると、満潮時にはよく揃った関係を得たが、干潮時には水温以外は広くバラついた。(4)洪水時には、懸濁有機物量も増加するが、無機懸濁粒子が大きく増加し、懸濁物中の有機物の割合は減少した。 3.植物プランクトンと流下藻類 (1)総細胞数はフロント及びより上流で多く、下流で少ない。(2)ケイ藻が圧倒的に多く、次いでミドリムシが広い範囲に出現した。(3)フロントを境にして上流側では淡水産、フロント及び下流側では汽水産〜海産が主であった。(4)植物プランクトン数のピークとクロロフィルaのピークとは一致しなかった。この事実は水と懸濁粒子の挙動の違いを示している。
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