1985 Fiscal Year Annual Research Report
化学物質の初期胚におよぼす点火および遅発影響の検出-初期胚の培養と移植系の応用-
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60035056
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
松本 信雄 東京慈恵会医科大学, 医, 教授 (30009998)
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Keywords | メチル水銀 / Buthionine sulfoximine / Cystine / アクリジン・オレンジ / 蛍光顕微鏡法 / 胚移植 / 姉妹染色分体交換 / 晩発影響 |
Research Abstract |
研究目的:近年、初期発生において、たとえ点火影響(Initiation)としては軽微なものであってもそれが潜在化し、後の発育過程において重大な異常として顕在化する可能性が指摘されている。この晩発性の影響を検出する目的で、まず【◯!1】マウス着床前胚の培養系を用いメチル水銀(MMC)の毒性機構に関し検討し、次いで【◯!2】妊娠3日目のマウスにアクリジン・オレンジ(AO)投与し、胚の発育への影響の有無ならびに雄マウスにAO投与し、交配・受精によるAOの移行の有無について検討した。さらに【◯!3】4NQO,Mitomycin Cにて胚盤胞を処理しその後に仮親に移植し発育への晩発影響についても観察をした。 結果と考察:【◯!1】前回はアミノ酸のうちとくにCystine添加によりMMCの毒性発現が促進されることを認めたが、今回はCysteine(0.5-1.0mM)のみの添加を試みたが、胚盤胞の発育阻害が明らかに認められた。次に、MMCとCystineを培地に添加し、さらにGSHの合成を特異的に阻害するButhioninesulfoximine(BTO)を添加することにより、MMCの毒性発現は抑制された。 Cystine添加によりGSHの合成は促進されるが、BTOの添加によりGSHの合成ならびにCystineの移送阻害が生じ、MMCの毒性発現に影響を与えたものと考えられる。【◯!2】母獣へAO20mg/Kg投与ではその後の発育に影響は認められず、40mg/Kg投与で胎仔の発育遅延、60mg/Kg投与では母獣7匹中1匹が死亡した。また、雄マウスにAO40mg/Kg投与の2時間後に採取した精子には明らかにAOによる蛍光が認められた。同じ処理の雄を無処理の雌と交配し、えられた前核期胚を暗視野蛍光顕微鏡で観察すると胚の自家蛍光の他に明らかにAOによる蛍光が認められた。【◯!3】4NQOおよびMitomycin C処理により胚盤胞細胞の姉妹染色分体交換の頻度が増加した。4nqo処理後仮親子宮に移植の場合は明らかにその後の発育遅延がみとめられた。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] ACTA OBSTETRICA ET GYNAECOLOGICA JAPONICA. 37-3. (1985)
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[Publications] TERATOLOGY THE INTERNATIONAL JOURNAL OF ABNORMAL DEVELOPMENT. 32-3. (1985)
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[Publications] TOXICOLOGY LETTERS. (1985)