1985 Fiscal Year Annual Research Report
水畜産廃棄物-農林産廃棄物の有効利用に関する基礎的研究
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60035059
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
矢崎 仁也 日本大学, 農獣, 教授 (60059045)
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Keywords | オガクズ / 植物生育阻害物質 / 阻害物質分解菌 / 堆肥化 |
Research Abstract |
オガクズ、特に針葉樹材のオガクズ中には、低分子および高分子の植物生育阻害物質が存在する。今年度は、オガクズ中の高分子の植物生育阻害物質の単離を試み、さらにそれを分解する微生物を検索し、有効性を検討した。またこれらオガクズのコンポスト化を試み、腐熟化過程中の阻害物質の変化を追跡した。材料のオガクズは北米産ツガ材を主材料とし、対照に国産の杉およびブナ材を使用した。阻害物質の検索は、それぞれのオガクズの水、酸およびアルカリ抽出物の水蒸気蒸溜残渣について行った。阻害物質の単離は主として薄層クロマトグラフィー(TLC)によって行なり、植物試験にはコマツナを用い、蒸溜水にこれらの分画物を添加してその影響を調べた。これらの実験と並行して植物生育阻害物質分解菌の分離を試みた。各種オガクズより抽出されたそれぞれの抽出物の水蒸気蒸溜残渣について比較した結果、特に針葉樹材のアルカリ抽出物蒸溜残渣は、他のそれよりも著しくコマツナの生育を阻害し、これらの画分中に阻害物質の多いことが示唆された。一方、これらの画分を含む培地上でよく生育する5菌株を分離し、それらの菌株について、阻害物質の分解性をTLCおよび植物試験により調べた結果、画分中の一成分(コマツナの生育をつよく阻害するスポット)の消失していることが認められ、いずれも有効な菌株と判断された。また3種のオガクズの堆積物中の植物生育阻害物質の変化を調べた結果、いずれの堆積物においても、10ヶ月経過後で阻害物質の消失していることが示された。TLC上のこれら阻害物質の消失のパターンは、それぞれの分解菌による分解パターンと一致しており、腐熟化過程で、これらの菌株が関与していることが示唆された。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 日本土壌肥料学会関東支部大会講演要旨集. 29 (1985)
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[Publications] 日本農芸化学会関東支部講演要旨集. 7 (1985)
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[Publications] 日本農芸化学会大会講演要旨集. 271 (1986)