1985 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
60045026
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
井上 祥平 東京大学, 工, 教授 (20010762)
|
Keywords | 光合成 / 金属ポルフィリン錯体 / 可視光エネルギー / 二酸化炭素 / 光固定化 / 白金コロイド / 水素発生反応 / 高分子ミセル / 光触媒 |
Research Abstract |
本研究は、人工光合成システムの開発を目的とし、可視光を吸収する金属ポルフィリン錯体を触媒とした二酸化炭素の化学固定、およびセレン化カドミウム光触媒を用いる水素発生反応を検討した。 1.金属ポルフィリン錯体による二酸化炭素の化学固定 アルミニウムポルフィリンや亜鉛N-メチルポルフィリンの中心金属-アキシャル基(-【R_1】-【OR_1】-SR)6結合への二酸化炭素の挿入反応に加えて、今回Al-【NR_2】結合を有するポルフィリンが二酸化炭素をすみやかに、かつ不可逆的に捕促することを見いだした。一方、Al-【O_2】CR結合を有するポルフィリン錯体が、二酸化炭素を第二アミン(【R_2】NH)中に吹き込むことにより生じるカルバミン酸アンモニウムのカルバマート基(【R_2】N【CO(^-_2)】)を錯体の裏側に配位的に捕促するという全く新しい知見を得、エポキシドとの反応でカルバミン酸エステルを触媒的に合成することに成功した。また、これらと関係して、アルミニウムポルフィリン錯体((Pon)AlX)のアキシャル基(X)と対応する活性水素化合物(HX)との司逆的な交換反応が錯体の可視光吸収に伴い著しく加速されることを見いだした。これは可視光のエネルギーによって、錯体上でまわる触媒反応を「反応種の活性化」に加えて「生成物離脱過程の促進」という面からも加速し得ることを示した全く新しい観点である。 2.セレン化カドミウム系光触媒による水素発生反応 光腐食を起こしやすいセレン化カドミウムをポリビニルピロリドンで保護したものに光を用いないアルコール還元法で白金コロイドを担持し、これを触媒として水-ギ酸中で可視光照射を行ない、有効な水素発生反応を実現した。また、硝酸カドミウムとセレノ尿素から調製したセレン化カドミウムを本系に用いると、一桁高い水素発生活性が発現した。一方、鎖状高分子のかわりに高分子ミセルを用いると、白金コロイドの安定性と触媒活性を向上できることが明らかとなった。
|
Research Products
(4 results)
-
[Publications] 炭素資源の有効利用に関する研究発表講演会. (1985)
-
[Publications] J.Amer,Chem.Soc.108-3. (1986)
-
[Publications] 7th International Symposium on Photochemistry. (1985)
-
[Publications] Chem.Lett.(1986)