1985 Fiscal Year Annual Research Report
免疫吸着体による好熱性放線菌Avicelaseの精製
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60045095
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Research Institution | Kyoto Prefectural University |
Principal Investigator |
瀧井 幸男 京都府立大学, 農, 助教授 (70154937)
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Keywords | バイオマス資源 / 放線菌セルラーゼ / 好熱菌 / 耐熱性セルラーゼ |
Research Abstract |
本研究では難分解性セルローズ(Avicel)の迅速かつ効率の良い生分解法を確立することを目的として、耐熱性セルラーゼを生産する好熱菌を土壤より分離し、その分類学的特性とAvicel分解酵素の生産条件およびその酵素学的性質を検討した。1.セルラーゼ生産菌株の分離と同定:土壤より分離した好熱菌株中、最高セルラーゼ生産株KP1246は菌糸に胞子(0.6〜0.8μm)を形成する好気性,グラム陽性の放線菌であり、45〜66℃,pH5.5〜8.5で生育し、食塩耐性5%,クエン酸資化性陰性,セルローズ・尿素分解性,ゼラチン・デンプン非分解の性質を示しBergey's Manual Determinative Bacteriology第8巻と照合して、本菌株をThermomonospoia curvataと同定した。2.Avicelasの生産条件と酵素の性質:酵素生産の最適培地は、1%Avicel,0.3%【K_2】H【PO_4】,0.1%K【H_2】【PO_4】,0.5%カザミノ酸,0.15%酵母エキス(pH6.8)であった。炭素源として口紙、窒素源としてペプトン・尿素・カゼインも有効であった。上記の培地で最適温度55℃で振盪培養を行うと、培地中のAvicelの減少とともに菌体の生育は対数期(3〜6日)に入り、以後定常期(9〜18日)にかけて安定した菌体外酵素の生産(22.4mU/ml、比活性32mU/mg蛋白)を示した。一方、膜結合酵素、菌体内酵素は対数期後期に減少した。得られた菌体外酵素の熱安定領域(pH7.0、60分処理)は4〜65℃、酵素反応の至適温度は68℃であった。基質としてAvicelのほか口紙が有効であった。また本酵素はcarboxy methyl celluloseおよびp-nitrophenyl-β-D-glucosideを水解すること、Avicelを基質とする酵素反応の主産物がglucoseであることから、本酵素は少くともendoglucanase,cellobiohydrolaseおよびβ-glucosidaseの三つの酵素系を有することがわかった。以上の結果、きわめて耐熱性にすぐれた本酵素系を適用することにより、これまで未利用のまま放置されてきた難分解性のセルロースを、雑菌汚染の危険性が少い温度条件下でグルコースにまで分解することができ、これを生物エネルギー資源として利用できうること示した。
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Research Products
(1 results)