1985 Fiscal Year Annual Research Report
フッ化カルシウムシンチレーターを使うトリチウム測定法の研究
Project/Area Number |
60055002
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
伊沢 郡蔵 東北大学, 理, 助手 (80004373)
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Keywords | フッ化カルシウムシンチレーター / トリチウム測定法 / 高速液体クロマトグラフィー |
Research Abstract |
本研究ではトリチウム測定法にγ線の測定で技術の確立している固体シンチレーターを用いた測定法を導入しトリチウムの軟β線のためのウィンドレスで用いることの出来るCa【F_2】(Eu)シンチレータ測定法を開発することを目的とした。 装置は、フローセルには石英U字管を用い45〜150meshのCa【F_2】(Eu)シンチレーターを充填し、本研究費で購入した高速液体クロマトグラフィーの出口に接続した。フローセルの両側から2本の光電子増倍管で挟み同時計数回路で暗電流によるバックグラウンドを低下させ多重チャンネル計数法で計数値の記録を行なった。計数効率は、static法で検討し、5×【10^3】〜1.2×【10^7】dpmの測定範囲で放射能強度に対して計数値の直線性が得られ、計数効率は0.86滿0.02%であった。 カラムクロマトグラフィーで用いる溶媒や溶質の影響を【^(60)Co】を外部線源として検討し、溶媒と溶質に選択の自由度の高いことを認めた。実際照射試料の分離と定量は、スチルベンと【^3He】を石英アンフィルに封入し日本原子力研究所の原子炉で照射を行なった。照射後試料はヘキサンに溶解し、反応生成物を溶離した。トリチウムラベル付反応生成物として親分子のスチルベン-【^3H】、とベンゼン環が3個以上付いた二種類の化合物を認めた。また、流出液は各ピーク毎に捕集し、液体シンチレーション法で本測定法の精度の高いことを認めた。 本装置の性能は、まとめると、最小検出感度は45〜100meshでは、150nCi,100-150meshでは60nCiと得られた。Ca【F_2】(Eu)シンチレーターの粒径が小さく表面積が大きい方が検出効率が良く、バックグラウンドはそれ程増加しないために最小検出感度が良くなると考えられた。 以上の結果からCa【F_2】(Eu)シンチレーダ(100〜150mesh)を用いて高速液体クロマトグラフィーからの流出液中のトリチウムの測定が、充分な感度と精度で測定可能であることを認めた。
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