1985 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
60055008
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
一政 満子 茨城大学, 理, 助教授 (60007557)
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Keywords | トリチウムガス / トリチウム水 / 腸内微生物 / 体内酸化 / ラット / ヒト / 糞便 |
Research Abstract |
動物体内に取り込まれたトリチウムガスは主として腸内細菌により酸化されると考えられているがその実体は殆んど明らかでないことから、本研究は腸内微生物によるトリチウムガスの酸化について検討を行った。研究成果を以下に述べる。 1.ラット腸内容物(直腸臀便)懸濁液によるトリチウムガスの水への酸化は、嫌気条件(窒素ガス-水素ガス-二酸化炭素、80:10:10)下では好気条件(空気)下に比べて著しいことが明らかになった。 2.ヒトの糞便懸濁液ではラットのそれと同様に好気条件より嫌気条件で著しくトリチウムガスが水に酸化された。その酸化の程度はラットの糞便とほぼ同程度であった。 3.ラット、ヒトいずれの場合も腸内菌によるトリチウムガスの酸化による生成物はその98%がHTOであった。(凍結乾燥法による結合型と遊離型トリチウムの測定にネオクールディップを使用)。 4.嫌気条件下でトリチウムガスの酸化にあづかる腸常在菌はどのようなものであるかを知るために、分離培地を用いてラット糞便よりトリチウムガス酸化能の高い菌株を分離し、同定した。(ガスパック100嫌気システムと小型冷水循環機を使用して嫌気培養を行った)。最優勢菌群であるBacteroides,Eubacteriumに属するいくつかの菌株にトリチウムガスの高い酸化能が検出された。一方、嫌気条件でも好気条件でも生育できるEnterobacteriaceaeのいくつかの菌株はいずれも酸化能が高かったが、腸内での存在比はBacteroidesの1万分の1以下であることを考慮に入れると、全体としてトリチウムガスの体内酸化にあづかっているのは嫌気性菌であることが推論された。
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Research Products
(2 results)