1985 Fiscal Year Annual Research Report
トリチウムシミュレーターを用いた生物照射実験とトリチウム生物影響の評価
Project/Area Number |
60055015
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
代谷 次夫 東京大学, 理, 教授 (00011453)
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Keywords | トリチウムシミュレーター / トリチウム生物影響の評価 / 線量率連続可変装置 / 低線量率照射装置 / マウス腸障害 |
Research Abstract |
トリチウムシミュレーターの性能-装置の概要と制御系および線量測定-について。本装置設計の基本的考え方は、予定される生物種が多種にわたるため(動物,酵母,培養細胞,植物など)、トリチウムに対する感受性も巾が広いので、線量範囲、とくに低線量域を広範囲でカバーできること、第2にトリチウムの生物種によって異なる生物学的半減期に対応できるよう、種々の径時的減少をする照射線量率が得られること、第3に照射が長時間にわたるため、安定した自動運転と非常時の安全確保が可能であることである。 線源はCs-137の20Ciと1Ciの2種類として水平回転する線源容器に対称位置に装着して、いずれか1種の線源が照射孔に出る様にした。全体は格納容器に収納した。照射線量率を連続的に変化させるために、格納容器の照射孔前面にフィルター(上端20mm、下端2mmの鉛)を設置し、これを上方から下方へ動かすことによる方法と、照射試料を線源側から移動させる方法を採用した。試料移動の方法は床にレールを敷き、この上に試料台車をのせてモーター駆動のチェーンで引いて微速度運転をする。試料台車牽引のモーターの駆動はコンピューター制御方式を採用した。この結果牽引速度は毎分1mから24時間で1mm以下まで正確に自動制御が可能となった。またさらにトリチウムの生物学的半減期に対応した照射線量の曲線的減少も制御可能である、線源からの直線的線量率分布は、Ionex線量計(Type 2500/3)によって測定した結果、20Ci,1Ciのいずれの線源を用いた場合にも非常に良好な直線性が得られた。この2種類の線源で得られる線量率範囲は、線源より1mから5mの間で15R/minから0.0003R/minであった。散乱線や線質の変動については現在測定中である。マウス腸障害(クリプト幹細胞死を指標)について本装置を用いた照射実験が行はれ、固定した組織の観察と集計整理が進行中である。
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Research Products
(1 results)