1985 Fiscal Year Annual Research Report
高等動物における酵素の機能と発現調節機構の分子生物学的研究
Project/Area Number |
60060005
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
森野 能昌 熊本大学, 医, 教授 (30028352)
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Keywords | トランスアミナーゼ / リンゴ酸脱水素酵素 / 部位特異的突然変異 / 酵素の構造と機能 / リンゴ酸・アスパラギン酸シャトル / 酵素の発現調節機構 |
Research Abstract |
〔【I】〕.酵素の機能発現機構:(1)ブタミトコンドリア局在アスパラギン酸トランスアミナーゼ(m-GOT)の前駆体に対するcDNAを単離し、構造を解析した。(2)ブタ細胞質局在アスパラギン酸トランスアミナーゼ(cGOT)に対するcDNAの一部を単離し、目下フルレングスのcDNAを検索中である。(3)ブタm-GOTの前駆体および成熟酵素について、発現ベタターとしてpkk223-3を用い、大腸菌での量産系を確立中である。(4)大腸菌IluE(分岐鎖アミノ酸トランスアミナーゼ)遺伝子をクローン化した。塩基配列から帰属されるアミノ酸配列は、大腸菌およびブタGOTとの間にホモロジーを全く認めなかった。(5)大腸菌TyrB(芳香族アミノ酸トランスアミナーゼ)の遺伝子をクローン化した。帰属されたアミノ酸配列は、GOTとの間に約40%の同一性を認め、触媒上重要な残基は完全に保存されていた。(6)Aspc,IluE遺伝子DNAをプラスミドに導入し、GOTおよび分岐鎖アミノ酸トランスアミナーゼの大腸菌での量産系を確立し、目下、GOTのリジン残基(258番)をアルギニンに変換するため、部位特異的突然変異を実施中である。(7)IluE遺伝子の産物について酵素学的、たんぱく化学的解析を終了した。 〔【II】〕 酵素発現の調節機構:(1)マウスのm-GOTおよびc-GOTのcDNAを単離し構造を解析した。(2)上記cDNAをプローブとして用い、m-GOTに対する遺伝子DNAを単離し、構造を解析中である。(3)同様にc-GOTに対する遺伝子DNAの単離が進行中である。(4)GOTアイソザイムとともにアスパラギン酸・リンゴ酸シャトルの重要な構成酵素であるリンゴ酸デヒドロゲナーゼ(MDH)については、マウスm-MDHに対するcDNAを単離し、その構造解析を終了した。これを用いて現在、遺伝子DNAの単離が進行中である。(5)cMDHは報告された一次構造が信頼出来ないことが判明したので、c-MDHを精製し、BrCN分解により7つのペプチド断片を得、その一次構造を決定し、cDNA単離のための情報を得つつある。
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[Publications] Proc.Natl.Acad.Sci.USA. 82-18. (1985)
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[Publications] Biochem.Biophys.Res.Commun.133-1. (1985)
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[Publications] Biochemistry. 25-7. (1986)
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[Publications] Journal of Biochemistry. 99-4. (1986)
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[Publications] FEBS Letters. (1986)