1987 Fiscal Year Annual Research Report
古年輪変動データの分析による考古歴史研究方法の確立
Project/Area Number |
60065001
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Research Institution | Nara National Research Institute for Cultural Properties |
Principal Investigator |
田中 琢 奈良国立文化財研究所, 埋蔵文化財センター・センター, センター長 (40099958)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 忠信 京都大学, 防災研究所, 助教授 (00027294)
佐藤 拓実 奈良国立文化財研究所, 埋蔵文化財センター, 主任研究官 (90099961)
上野 邦一 奈良国立文化財研究所, 平城宮跡発掘調査部, 室長 (70000495)
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Keywords | 年輪 / 考古学 / 建築史 / 美術史 / 年代決定 / 気象 / ソフトX線 |
Research Abstract |
1.暦年標準パターンの作成とその応用法の確立 前37年まで完成していたヒノキの暦年標準パターンは, 古墳・弥生時代遺跡出土木製品の年輪データとの連鎖によって, 前206年まで延長できた. 縄文時代の年輪データとの連鎖は, 今後の適切な資料の入手を待たねばならない. コウヤマキの標準パターンは, 奈良時代の672年分と古墳時代の296年分とのデータが連鎖できたが, 弥生時代698年分との連鎖はなお成功していない. コウヤマキの標準パターンの暦年確定作業と進行中である. 木曾ヒノキによる標準パターンは, 約650km離れた青森県下のヒノキアスナロの平均変動パターンとのあいだで有意な相関があることを確認した. これによって, 現在作成中のヒノキの標準パターンは, 19都府県にわたる範囲において適用可能であることが確定できた. 暦年標準パターンによる遺跡・建造物・美術品の年代推定法は, 多くの実例を重ねることによって, 実用可能といいうる段階に到達した. その成果においても著しいものがある. 2.年輪構造の解析 X線像の濃度差測定による年輪幅の機械測定法の精度をあげるには, 年輪構造, とくに早材部と晩材部との境界線の確定が必要であり, 資料の顕微鏡観察を重ねることによって, ほぼその境界点を確定することができるようになった. 3.古気象復原モデルの作成 木曾ヒノキの年輪変動の特性を軸出するため, 気象データとのあいだに成立する関係式の誘導に努め, 一定の成果を得ることができた. それによって, 年輪データと気象データ, とくに降雨日数データとのあいだに良好な相関関係が存在することが確認できた.
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[Publications] 光谷 拓実: 広島県草戸千軒町遺跡調査研究所年報. 51-58 (1987)
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[Publications] 光谷拓実・田中琢: 奈良国立文化財研究所 埋蔵文化財センター,埋蔵文化財ニュース. 59. 1-16 (1988)
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[Publications] 光谷 拓実: 博士論文. 1-92 (1988)
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[Publications] 佐藤忠信・八嶋厚・田中琢: 京都大学防災研究所 年報. 30. 191-202 (1987)
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[Publications] 光谷 拓実: 「樹木年輪」短期研究会報告. 1-2 (1988)