1986 Fiscal Year Annual Research Report
Bリンパ球増殖・分化機構の解明とその異常制御に関する研究
Project/Area Number |
60065006
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
岸本 忠三 阪大, 国立大学(その他), 教授 (10093402)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村口 篤 大阪大学, 細胞工学センター, 助手 (20174287)
菊谷 仁 大阪大学, 細胞工学センター, 助手 (80161412)
平野 俊夫 大阪大学, 細胞工学センター, 助教授 (40136718)
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Keywords | BSF2 / 抗体産生 / 自己免疫疾患 / IFNβ2 / Fcεレセプター / CD23 / アトピー / EBV |
Research Abstract |
Bリンパ球に抗体産生を誘導する因子,Bリンパ球分化因子(BSF2),をコードするcDNAをクローニングし、その全構造を決定したBSF2は28コのシグナルペプタイドを含んで、トータル212コのアミノ酸より構成され、G-CSFとアミノ酸配列上相似性を認めた。E.Coliで発現されたりコンビナントBSF2は、活性化されたBリンパ球及びB-lymphoblastoid cell linesに数PMという低濃度で免疫グロブリンの産生を誘導したが増殖を誘導する活性は全てなかった。BSF-2はマイトーゲンで刺激されたリンパ球のみならず、いくつかの腫瘍細胞(例えばCardiacmyxomaや子宮頸癌等)で異所性に産生され、このような腫瘍をもった患者は自己抗体の産生と自己免疫様症状を呈した。すなわちBSF2の異常産生が自己免疫疾患の発症につながる可能性が示唆された。ほぼ同時期に、IFNβ2あるいは26kd蛋白と呼ばれた分子のcDNAがクローニングされ、これらがBSF2と同じ分子でることが明らかとなった。IFNβ2と呼ばれていたが、リコンビナントBSF2には抗ウイルス活性は認められたかった。しかし興味あることは、IL-1刺激により脳のグリア細胞に大量に発現することである。現在のところ脳での働きは分かっていない。 Bリンパ球表面上に発現されているFcεレセプター分子をレコードするcDNAをクローニングし、その全構造を決定した。FcεRはトータル321コのアミノ酸よりなりシグナルペプチドをもたず、N端を細胞内にC端を細胞外に出すというユニークな構造を示し、C端側の150コのアミノ酸よりなるペプチドが、IgE結合因子として遊離すること、これがアトピーの免者で著明に増加することが示された。FcεRはCD23と呼ばれてきたBリンパ球分化抗原であることを証明し、この発現がEBVのEBNA【II】によって誘導されることを示し、FcεR/CD23はEBVによるBリンパ球のトランスフォーメーションに何らかの関係がある可能性を示唆した。
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[Publications] Hirano,T.;Kishimoto,T.et al.: Nature. 324. 73-76 (1986)
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[Publications] Hirano,T.;Kishimoto,T.et al.: Proc.Natl.Acad.Sci.USA.84. 228-231 (1987)
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[Publications] Kikutani,H.;Kishimoto,T.et al.: J.Exp.Med.164. 1445-1469 (1986)
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[Publications] Kikutani,H.;Kishimoto,T.et al.: Cell. 47. 657-665 (1986)
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[Publications] Muraguchi,A.;Kishimoto,T.et al.: J.Immunol.137. 179-186 (1986)
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[Publications] Kikutani,H.;Kishimto,T.et al.: J.Immunol.137. 1214-1220 (1986)
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[Publications] 岸本忠三: "免疫科学3 免疫担当細胞" 岩波書店, (1986)