1985 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
60104006
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Research Institution | Okazaki National Research Institutes |
Principal Investigator |
井口 洋夫 岡崎国立共同研究機構, その他, 教授 (00100826)
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Keywords | 分子集合体 / 高次組織 / 分子集合体の機能 |
Research Abstract |
物質としての最少単位である分子の集合状態に着目して、そこに全く新しい構造・物性・更に反応特性を見出さんとして計画立案し、3ヶ年にわたって実行した特定研究である。その成果は、本特定研究を実行したものとして満足すべき成果をあげ得た。多くのすぐれた業績の中から代表例を選び、各班について列挙すれば下記の通りである。 (1)第一班に於ては、(BEDT-TTF)に代表される電子供与体の利用によって、有機超伝導体が確立され、その研究の中心に日本の研究集団を位置づけることが出来た。また、その構造の多様性から取扱いのむつかしいポリアセチレンの配向性向上の研究(液晶利用による)も次々世代に発展することを期待し得る。 (2)第二班では、黒燐の層間化合物の作成の成功は特記に値し、また、グラファイト層間化合物(【KC_8】;Tc=0.151K,Rb【C_8】;Tc=0.026K)の正確な超伝導性の発見は、新しい超伝導体理論の出現を導くことが期待されるのみでなく、超低温(mK)化学の道を開くものと期待している。 (3)第三班の包接化合物については、シクロデキストリン(CD)を中核とし、その化学修飾分子による各種包接化合物がつくられ、その包接空間の変化に応じて、その機能を調節できる正に分子設計のモデルを組あげ、この分野の世界の中心となる所まで成長させることが出来た。 (4)第四班のミセル、累積膜層の研究は目をみはるものがある。中でも逆ミセル中の可溶化水中での酵素の活性を、その高次構造に結びつけて理解している研究、更に化学反応によってつくり出される磁性体(【Fe_3】【O_4】)の超微粒子は、磁性流体の出現を導いている。 (5)第五班では理論、実験の合体をめざす本班に於ては、やはり"有機強磁性体への接近"を主張しなくてはならない。そして、その最も実現の可能性の高い研究とされてい。 これらはいづれも、これから発展の道を加速されつつ進むと信じる。
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