1985 Fiscal Year Annual Research Report
自然生態系におけるトキシンの動態およびトキシン産生の制御
Project/Area Number |
60108001
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
飯田 広夫 北海道大学, 医, 教授 (20001761)
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Keywords | トキシン / 腸内生態系 / 海洋生態系 |
Research Abstract |
第一班は自然生態系におけるトキシンの動態及びトキシン産生の制御をテーマとして研究を実施するもので、特にその中心となるのは自然生態系のなかで比較的研究の進んでいる腸内生態系と海洋生態系をモデルとしてとり上げた。腸内生態系では腸内常在菌や外来細菌による蛋白トキシンの産生と動態を明らかにする目的で研究が進められているが、これについては細菌性エンテロトキシン産生とその制御における常在細菌叢の役割に関する研究(佐々木)、および種の動物旧来のクロストリヂウム、ディフィレリエの性状を比較検討し、腸内での常在菌によるトキシン産生の動態を観察した研究(光岡)があり、また直接腸内細菌および生態系との関連を問題にしてはいないが、大腸菌の産生する志賀毒素と抗原性の異なるVeroトキシンに関する研究(竹田)、毒素原性大腸菌の振原性プラスミドと血清型に関する遺伝生態学的研究(吉川)など極めて特色ある研究が進められた。またウエルシュ菌の毒素産生機構についての新しい知見(東)、ボツリヌス菌E型毒素に関する研究(阪口)、同じく毒素産生とクアーどの関連性を明らかにしようとする研究(飯田)、など興味ある研究が進めらた。一方海洋生態系においては、バイ(海つぼ)の毒化に関する研究(小管)、有毒フグとの混養による無毒フグの毒化(清水)、オウギガニ科カニ類の毒化に関する研究(橋本)、および下痢性貝毒の分布と毒組成に関する研究(安元)など多くの知見が集められた。また、土壌に分布するエメリセア層およびタラロマイセス層の有毒菌の分布等に関する研究など(山崎)、トキシン産生真菌の分布に関する研究は、生態学のみならず、医学的にも大きな意義をもつものと考えられる。
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