1985 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
60111002
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
平井 英史 東京大学, 工, 教授 (90010751)
|
Keywords | 有機薄膜 / プラズマ重合 / 高分子錯体 / 電子移動 / 置換ポリアセチレン / グラフトポリマー |
Research Abstract |
電気情報変換機能、光情報変換機能および分子情報変換機能などの情報変換機構を有する有機薄膜の開発に際し、高度に組織化された有機薄膜の合成法の確立は重要である。本研究では、これらの有機薄膜の設計と合成に関する基礎的知見を得ることを目的とする。 今年度に得られた主要な知見は次の通りである。1)金属フタロシアニン,テトラメチルスズ,銅アセチルアセトナートなどをプラズマ重合することにより光電変換機能、導電機能、メモリー機能などを有する薄膜を合成し、これらの諸機能がモノマー構造とプラズマ条件により制御できることを明らかにした。2)温和な条件におけるプラズマ重合によりモノマー構造が十分に反映した有機薄膜を合成し、整流特性を発現させた。また、反応性プラズマ蒸着法を考案し、これを用いて硬度の大きい結晶性薄膜を合成した。3)ポリスチレンと塩化銅アルミニウムとから均質な高分子錯体薄膜を合成する方法を確立し、薄膜の電気伝導度が雰囲気中の水蒸気、一酸化炭素およびエチレンの濃度に比例して可逆的に変化することを明らかにした。4)電子授受機能を有する金属フタロシアニンの単結晶を電解合成し、その導電性を分子配向に基づいて評価して、金属錯体を包埋した有機薄膜中の電子移動に関する基礎的知見を確立した。5)3級アルキル基を置換基とする置換アセチレンの重合に成功し、これらの有機薄膜を合成した。また、置換ポリアセチレンの力学的諸性質が、置換基の種類に顕著に依存することを明らかにした。6)高分子マトリックスに相溶性のあるアンカー部分と機能性成分とよりなるグラフトポリマーを合成し、ポリメタクリル酸メチルとともにキャストすることにより、機能性成分の薄膜で被覆された高分子膜を合成した。 以上のように、各種の新機能性有機薄膜の合成に成功し、それらの構造と機能を評価した。
|
-
[Publications] J.Polym.Sci.23. (1985)
-
[Publications] 高分子論文集. 42-4. (1985)
-
[Publications] Chem.Lett.1985. (1985)
-
[Publications] J.Polym.Sci.23-9. (1985)
-
[Publications] Makromol.Chem.186. (1985)