1985 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
60121006
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
久城 育夫 東京大学, 理, 教授 (80011526)
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Keywords | マグマ / 密度 / 粘性 / カンラン岩 / 融解関係 |
Research Abstract |
本年度はマグマのダイナミックスの基礎的な研究に主眼を置いた。すなわち、高圧下における玄武岩質マグマの密度と粘性の一般則を求めること、および上部マントル物質であるカンラン岩の融解関係および生じる液の組成を上部マントル全圧力の範囲にわたって決定することを目的とした。玄武岩質マグマの密度については、これまで当グループがすでに決定したものと本研究において決定したものとから、約2.0GP までの圧力範囲における密度を求める一般式を導いた。この式により、化学組成が与えられると、地殻中・下部〜マントル上部における玄武岩質マグマの密度が求められる。この一般式を用いて、地殻中・下部における玄武岩質マグマの結晶分化作用によるマグマの密度変化、および上部マントルにおける玄武岩質マグマの上昇過程の密度変化を明らかにした。その結果、日本列島においては、火山フロント附近では日本海側に較べて、液と含むダイアピルの密度が小さく、その結果上昇速度が大きいことが示唆される。粘性については、5種の主要な玄武岩質マグマの粘性を1.5GPaまで決定し、粘性に及ぼす圧力と温度の効果を明らかにした。また1.2GP下における玄武岩質マグマの粘性流の活性化エネルギーは約60Kcal/moleであった。これらの結果から、玄武岩質マグマの粘性が地殻下部〜マントル上部の条件下で一般的に求められる。その応用として、上部マントルで生じる玄武岩質マグマの粘性を求めると、深さが25kmでは約250P(ポアズ)であるが、深さ100kmでは約2Pまで減少することがわかった。これはマグマの移動の機構にとって重要である。カンラン岩の融解関係は14GPaの高圧下まで決定し、融解の温度範囲が圧力の増大とともに著しく小さくなることを示した。そして、生じる液は次第にMgに富むようになり、5GPa以上ではコマチアイト質さらに10GPa以上ではカンラン岩質になることを明らかにした。これらはマントル物質の成因に重要である。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Jour.Non-Cryst.Solids. 71. 429 (1985)
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[Publications] Jour.Geophys.Res.(1986)
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[Publications] Physical Chemistry of magmas. (1986)
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[Publications] Nature. 315. 566 (1985)