1985 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
60121013
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
松井 義人 岡山大学, 温研, 教授 (20033128)
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Keywords | ケイ酸塩 / ケイ酸塩メルト / 計算機シミュレーション / 高圧力 / 固体物性 / 鉱物化学 / 鉱物物理学 |
Research Abstract |
本年度は、計画研究の初年度として、分子動力学計算、固体量子論(第一原理)計算についてこれまでに提示された成果の全面再評価を実行した。同時に、地球科学に無経験の物理系分担者と、問題の所在を討論し、将来最も有効な戦略は何かについて討議を進めた。これらの目的のため、地球内部研究センターにおいて8月25日〜27日にわた1)研究会を開くなど、情報・意見の交換に努力した。 分子動力学計算について得られた結果は、1)2体中心力モデルにおいては、形式電荷がそのままクーロン力を構成すると仮定した場合、圧力および剛性率などを再現することはほとんど不可能であること。したがって部分電荷を仮定するほかに道がないこと、2)従来の格子エネルギー最小化法によって推定された2体中心力のパラメタは、分子動力学法に適用できない(原子の変位が無限小のとき以外は全く無効)ものがほとんどであること。3)以上の結論をふまえた上で、本研究のために結晶構造が精密に決定されたMgSi【O_3】ペロフスカイトについて弾性率を強制条件とし、空間群の制約をとり払ったWMIN法を実行し、広い適用範囲を持つポテンシャルパラメタが得られたこと、4)同様に部分電荷を仮定したポテンシャルにより、Si【O_2】の多形転移の計算機実験に成功したこと、などである。 固体量子論計算から、実効ポテンシャルを導く試みも進行中であるが、今年度内に結論は出なかった。第一原理計算から分子動力学計算に利用できるポテンシャル関数を導き出せるか否かは、現在理論鉱物物理学の中心をなす問題であって、国際的競争が激烈であるので、特に重点的な補強が必要である。
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