1985 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
60127009
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
佐伯 武頼 鹿児島大学, 医, 教授 (10056070)
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Keywords | 先天性代謝異常症 / 分子遺伝学 / シトルリン血症 / 先天性高アンモニア血症 / 糖原病【II】型 / サラセミア / 無アルブミン血症 / 遺伝子治療 |
Research Abstract |
本研究班は近年急速に発展した分子生物学、分子遺伝学の手法を用い、先天性代謝異常症の病因解析と診断法の確立、さらには遺伝子治療の開発を目ざしている。 その目的に沿って、蛋白精製ならびに遺伝子工学方面の研究を行うに当り、フラクションコレクター、遠心濃縮器、トランスイルミネーター、ゲルスラブドライヤー等機器を使用し、多くの遺伝子工学関係試薬やアイソトープを使用し、以下の成果を得た。 島田はシトルリン血症原因酵素であるアルギニノコハク酸合成酵素の遺伝子の構造解析から、5′側調節領域にはhouse-keeping遺伝子と組織特異的発現を行う遺伝子の両特徴を合せ持つことを明らかにし、シトルリン血症のDNA解析の基礎を築いた。 佐伯は特に【II】型シトルリン血症の病因解析を目ざし、本年度は患者のcDNAの部分的クローン化、血清中の上記酵素蛋白の定量法の確立に成功し、アンチセンスRNAの探索を行っている。 森はオルニチントランスカルバミラーゼ欠損症の病因解析を目ざし、ラット酵素のcDNAをクローン化し、その塩基配列を明らかにし、患者mRna異常の多様性を示した。 松田は糖原病【II】型における酸性α-グルコシダーゼの異常をモノクロナル抗体を用い解析し、不活性な酵素蛋白の検出、中性酵素との関連に知見を得た。 従来よりサラセミアの解析を行ってきた服巻は今回二種の新たな症例で、広範な遺伝子の欠失とATAボックスの一塩基置換を発見解析した。 佐藤は無アルブミン血症ラットが微量のアルブミンを合成する機構に関して免疫組織化学的手法により、加令、発癌物質投与に伴うアルブミン産生細胞の数の変化を検討し、遺伝子レベルに変化を想定出来る結論を得た。 荻田はプラスミドおよび白血球DNAの微量精製法を開発し、マウス受精卵へのヒトβ-グロビン遺伝子移入を試み、そのマウスゲノムへの挿入とマウス赤血球中でのヒトβ-グロビン蛋白の発現を確認した。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Am.J.Hum.Genet.38巻. (1986)
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[Publications] Blood. 67巻 2号. (1986)
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[Publications] Japn.J.Cancer.Res.77巻 2号. (1986)
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[Publications] J.Inherit.Metab.Dis.(1986)
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[Publications] J.Inherit.Metab.Dis.(1986)Clin.Chim.Acta.