1985 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
60203007
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
天谷 喜一 大阪大学 (80029503)
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Keywords | 化合物磁性体 / 超低温生成 |
Research Abstract |
本年度は以下の研究を行なった 1. トップローディング型【He^3】/【He^4】希釈冷凍機の活用 昨年度完成の本冷凍機の運転を行い、大型実験の準備段階、或いは数十mK温度域までの磁気測定一般に活用されている。 2. 核スピン系超低温の生成 電子スピン系基底一重項磁性体Fex【Zn_(1-x)】【F_6】Si・6【H_2】O結晶中の核スピン(【^1H】&【^(19)F】)系冷却の問題点が以下の如く整理された。【i】)Fe濃度の低い(x【<!〜】0.1)結晶が、結晶構造的に有利であり、磁場印加に対しても安定である。核スピン系の消磁温度も最も低い値(Ts【〜!_】30μK)が得られている。【ii】)【Fe^(2+)】以外の磁性イオンを含まない高純度試料が必須であり、現在、不純物濃度数ppm以内のものが得られている。【iii】)現在の等温磁化条件は12Tの強磁場下、核スピン系初期温度推定値は約1K程度であり、期待値10mK達成の為には、磁場軸と結晶軸をメカニカルな可変機構によって正確に一致させる事がどうしても必要である。現在、磁場軸、結晶軸夫々について軸可変を試みつつある段階である。 3. パルス法電子スピン系断熱消磁 反強磁性体【Cs_3】【C_0】【Cl_5】単結晶について、T>4Kの高温の常磁性状態より、【Co^(2+)】の電子スピン系をパルス的に断熱消磁を行い、消磁化冷却に伴う磁気相転移の観測を行なった。掃引速度を変える事により長距離秩序形成の時定数が測定された。又、掃引速度の速い極限では負磁化(負温度)状態が達成され、負温度より正温度平衡状態への緩和過程に異常(フォノンなだれ)が観測された。核スピン系への応用を考慮中である。 4. 無機分接格子中吸着原子、分子及びイオンの低温物性 ゼオライト吸着【H_2】,【He^4】,或いは磁性イオン【Mn^(++)】に関する研究が行われた。量子凝縮の基礎研究として興味ある成果が得られつつある。【Mn^(++)】については断熱消磁冷却の計画がある。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Journal of the Physical Society of Japan. 54-4. (1985)
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[Publications] Journal of the Physical Society of Japan. 54-5. (1985)
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[Publications] Journal of the Physical Society of Japan. 54-9. (1985)
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[Publications] 日本物理学会誌. 30-11. (1984)