1985 Fiscal Year Annual Research Report
味受容膜および嗅受容膜をモデルとした人工膜センサの開発
Project/Area Number |
60211001
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
栗原 堅三 北海道大学, 薬, 教授 (00016114)
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Keywords | 人工膜 / センサ / リポソーム / 味受容膜 / 嗅受容膜 / アゾレクチン / 卵黄レシチン / 膜電位 |
Research Abstract |
嗅細胞においては、匂い物質が吸着すると膜電位変化が起こる。嗅細胞膜の機能を有する人工膜センサーを開発するために、リポソームに匂い物質を与え、膜電位変化を測定した。各種の脂質でリポソームを作製し、匂い物質を与えたときの膜電位変化を、膜電位感受性の蛍光色素を用いて測定した。 まず脳から抽出した脂質により作製したリポソームに、匂い物質を与えたところ、細胞の場合と異なり、過分極方向の膜電位変化が観測された。一方、アゾレクチン(大豆の脂質)で作製したリポソームは嗅細胞の場合と同じように、各種の匂い物質により脱分極方向の膜電位変化を示した。卵黄レシチン(PC)のリポソームに、匂い物質を与えたときにも、各種の匂い物質により膜電位変化が見られた。各匂い物質による膜電位変化の大きさは、アゾレクチンリポソームの場合より小さいが、膜電位変化はより低濃度で起こった。卵黄PCに小量のコレステロールを添加すると、ムスコンに対する応答のみが増大した。コレステロールの割合を増やすと、いずれの応答も小さくなったこのように、脂質組成を変化させると応答特異性が変化することがわかった。 アゾレクチンおよび卵黄PCリポソームに、各種の匂い物質を与えると、膜流動性が変化した。ムスコンおよびアミルアセテートは、膜流動性を増大させ、ヨノンは低下させた。各匂い物質が膜流動性を変化させる濃度領域は、膜電位変化の起こる濃度領域と同じであった。匂い物質がリポソームに吸着すると、膜構造が変化し、この結果膜流動性が変化したものとおもわれる。膜電位変化は、膜構造の変化により起こるものと推察した。 以上の結果により、匂い物質に応答する人工膜センサーの作製に成功した。今後さらに感度を上げることが必要である。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Brain Research. 359. (1985)
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[Publications] Comp Biochem Physiol. 82A-1. (1985)
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[Publications] Brain Research. 333. (1985)
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[Publications] DENKI KAGAKU. 54. (1986)
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[Publications] DENKI KAGAKU. 54. (1986)Comp Biochem Physiol.