1985 Fiscal Year Annual Research Report
生体膜類似の構造,機能を有する含ポリペプチド高分子膜の情報変換機能
Project/Area Number |
60211006
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
井上 祥平 東京大学, 工, 教授 (20010762)
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Keywords | 情報変換 / 高分子薄膜 / ポリペプチド / グラフト共重合体 / 刺激応答性膜 / 生体膜モデル / 膜タンパク質モデル |
Research Abstract |
生体膜において、物質輸送、エネルギー変換、情報伝達などの機能を担っているのは膜タンパク質である。我々は、膜タンパク質モデルとしての合成ポリペプチドを膜貫通ドメインとして有する安定な高分子膜を合成し、生体膜類似の優れた情報変換機能の発現を目指して来た。本年度は、この膜の溶質透過における刺激応答性を調べた。 膜はポリビニル/ポリペプチドグラフト共重合体から成り、ペプチドとしてポリ(L-グルタミン酸)またはポリ(L-アスパラギン酸)を用いた。ポリペプチド集合体から成るドメインが透過チャンネルとして機能し、ビニルポリマードメインは膜構造の支持安定化に寄与する。 この膜の溶質透過性は外部刺激(情報)に応答して著しく変化する。異なるpH緩衝液中でスチレングリコールの透過性を調べたところ、透過性-pH曲線はシグモイド状となり、pH2と7の間での透過速度変化は約20倍に達した。この時、透過チャンネルを形成するポリペプチド鎖が、α-ベリックスからランダムコイルへと高次構造変化を起こしていることが膜のIR測定から確かめられた。膜透過性は2価カチオンという情報にも応答して変化することがわかった。スチレングリコールの透過性は【Ca^(2+)】などの2価カチオンの添加により抑制され、EDTAの添加で可逆的にもとの値に戻った。一方、アンモニウム塩が透過性に与える影響を調べたところ、長鎖アルキル基を有するテトラブチルアンモニウムクロリドがカルボン酸型の膜に対し特異的に溶質透過性を低下させる作用があることが明らかとなった。また、タンパク質の変性剤として知られる尿素によっても、この膜の透過性を制御し得ることがわかった。以上のように、膜中で透過チャンネルを形成しているポリペプチドのコンホメーションを、種々の外部刺激(情報)により変化させ、溶質透過性を制御できることがわかった。これは、神経膜のモデルのひとつとしても興味深いと考えられる。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] 第50回日本化学会春季年会講演予稿集. 50. (1985)
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[Publications] 第7回膜学会要旨集. 7. (1985)
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[Publications] 第34回高分子年次大会予稿集. 34-7. (1985)
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[Publications] Preprints from Japan-US Polymer Synposium. (1985)
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[Publications] 膜. 10-6. (1985)