1985 Fiscal Year Annual Research Report
非対称荷電中に配向したタンパク質を有する薄膜の合成とその応答挙動
Project/Area Number |
60211013
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
功刀 滋 福井大学, 工, 助教授 (70111929)
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Keywords | 酵素膜 / 固定化酵素 / 荷電膜 / 非対称性 / 異方性 / ポリアクリルアミド / 応答挙動 / 薄膜 |
Research Abstract |
1.概略 本研究では生体膜の持つ構造的・環境的非対称性に着目し、これを有用タンパク質を非対称荷電膜中に配向させたものとしてモデル化することを目的とする。本年度はこのための基礎として、電場法による非対称荷電膜の調製と、そのタンパク質膜(酵素膜)調製への展開を重点的に研究した。 2.非対称荷電膜 非対称な荷電膜の製法として、ここでは架橋剤との共重合による製膜を静電場を付与して行うことにより、製成膜内における荷電成分の分布のコントロールを行うという方法を用いた。具体的にはアクリルアミドにイオン性のコモノマーを配合し製膜したが、得られた膜は非対称荷電膜の特色である等濃度塩溶液間での膜電位を示し、またある種の塩について膜内透過性に異方性を示した。すなわち本方法によって意図する通りに非対称荷電膜を調製することができることが確立された。 3.非対称酵素膜 上記の原理を、本来荷電性高分子である酵素タンパク質の固定化膜内での分布のコントロールに応用した。具体的にはアクリルアミド包括固定化アルカリホスファターゼを対象とした。製成酵素膜の両表面における酵素活性を調べたところ、静電場の印加は膜内での酵素の分布を約50%偏らせることができることが判った。このような非対称性酵素膜は、膜を挾んだ二相のうち一方にのみ基質を供給した場合の透過反応性に異方性が見られることが予想されるが、このことはここで得られた膜によって実験的に明らかにされた。
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