1985 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
60212020
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Research Institution | Osaka Institute of Technology |
Principal Investigator |
井上 正崇 大阪工業大学, 工, 助教授 (20029325)
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Keywords | ヘテロ接合 / 2次元電子 / フォノン |
Research Abstract |
半導体ヘテロ構造、GaAs(AlGaAs)およびInP(AlInAs)界面に形成された2次元電子は、超高速トランジスタ等に利用できることから、その基礎物性の究明が重要な課題である。本研究では、2次元電子輸送現象の主因となる電子-フォノン相互作用について調べた。本年度に得られた成果の概要は以下の通りである。 1.AlInAsとのヘテロ接合をつくり最初にInP中に2次元電子を形成することに成功した成果をもとに、この新しいヘテロ接合中の電子輸送について研究を行った。2次元電子濃度と移動度の関係から、【10^(12)】【cm^(-2)】以上において励起サブバンドに電子が分布することが明らかになった。 2.変調ドーピング法によってInP中に分布した高濃度2次元電子のホットエレクトロン効果をモンテカルロ法を用いて解析した。高電子濃度の場合、InP中の電子と極性光学フォノンの強い相互作用がスクリーンされ、その結果ドリフト速度が大きくなることが分った。このスクリーニング効果は10kv/cm程度の高電界まで著しいことから高速トランジスタをつくる上に非常に有利である。 3.GaAs(AlGaAs)ヘテロ構造を組合せた種々の構造の多層量子井戸の光物性を測定した。光吸収係数を12kから広い温度領域に亘って測定し、変調ドーピングの効果、2次元サブバンド準位等について知見を得た。またフォトルミネッセンスのスペクトルを解析して2次元電子分布を求めた。量子井戸の幅が100Åの構造において、第2サブバンドに分布した2次元電子の発光と、そのフォノン放射を伴う発光が観測された。これらの新しい実験結果をもとに、2次元電子とフォノンとの相互作用について、次年度も研究を発展させる予定である。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Jap.J.Appl.Phys.24-8. (1985)
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[Publications] Superlattices and Microstructures. 1-5. (1985)
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[Publications] Physica B. 134B. (1985)