1985 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
60213009
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
藤田 敏三 広島大学, 理, 教授 (20004369)
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Keywords | 強磁性超伝導体 / 薄膜 / シェブレル相 |
Research Abstract |
本研究は、薄膜系における超伝導と強磁性の競合を中心に、超伝導薄膜特有の磁気的性質を実験的に解明し、ひいては、新超伝導材料の可能性を探ぐることを目的としている。前年度に引続き、Ho【Mo_6】【S_8】膜における強磁性と超伝導の共存問題と、主としてHo【Mo_6】【Se_8】の試料作成に重点をおいて研究を進めた。本年度中に得られた主な結果の概略は下記のとうりである。 ○Ho【Mo_6】【S_8】膜における超伝導と強磁性の共存について、 われわれの発表した電気低抗と磁化の測定結果を、西独のグループが独自の試料で追試を行い、実験的にはほぼ同じ結果を得たが、彼らは超伝導領域と強磁性領域の混在と解釈した。われわれは、膜厚依存性と磁場依存性を整理し丹念に吟味しなおした結果、前の主張どうり混在ではなく共存と考えなければ説明できないことを示した。 ○Ho【Mo_6】【Se_8】の試料作成と超伝導性、 Ho【Mo_6】【Se_8】は、バルク試料でも超伝導と強磁性的磁気秩序が共存し得る系として最近見つけられたばかりの物質であるが、その薄膜の作成については末だ成功例がない。われわれは、この物質のバルクと薄膜の両試料の作成を試みた。バルクについては、目的のシェブレル相を含む多結晶試料の作成条件をほぼ把握できた。薄膜については、X線回折で明暸にシェブレル相と確認できる試料を得るには未だ至っていない。しかし、両試料とも予想される液体ヘリウム温度での超伝導転移は確認できた。今後、両試料の質の改善をはかり、電気的および磁気的性質をより低温まで測定することによって、バルクと薄膜における超伝導と磁性の共存状態の異同が明らかになることが期待できる。本年度得た結果は、超伝導と強磁性の共存に関する基礎的でかつ発展的な研究の糸口となる重要な知見を含んでいる。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] J.Magn.Magn.Mater.47-48. (1985)
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[Publications] Solid State Commun.56(4). (1985)
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[Publications] J.Phys.Soc.Jpn. 54(9). (1985)
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[Publications] Proc.Symp.on New Superconducting Materials. (1986)