1985 Fiscal Year Annual Research Report
有機錯体化合物超電導体の開発-分子設計の物性的検討
Project/Area Number |
60213014
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
小林 速男 東邦大学, 理, 教授 (60057635)
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Keywords | 分子性超伝導体 / 有機超伝導体 / 分子性金属 / 分子設計 |
Research Abstract |
最近多次元性を示す分子電導体が注目されているがこのような系に関しては我々は数年以前より多くの実例によりその重要性を示摘して来た処である。今年に到って更に新らしい分子性超伝導体TTF〔Ni【(dmit)_2】〕が見い出されたがdmitを配位子とする金属錯体に関しても超伝導を見い出した仏のCasouxのグループと同称我々も多くの系を調べつつある処であった。これらの系が旧来の一次元性のつよい分子系とどのように異なるかを明らかにしつつ新らしい分子性電導体を調べた。BEDT-TTF(ET),BMDT-TTF(MT),BPDT-TTF(PT),及びBEDSe-TSeF(ES)の錯体を合成した。超伝導を示すβ-【ET_2】【I_3】系に殆んど類似系をES系で実現しつつある。また二鎖系としてはMT-TCNQの高圧下での電導性を調べ、一次元性の強いTCNQ鎖のCDW転移は残存するが二次元性の強いMT鎖のCDW転移は消滅している事を見い出している。更に低温での変化が興味ある処である。また最近ET系のアニオン位置に乱れを導入し【I_3】-Au【I_2】混晶系、およびその類似系を数多く調べた。その中にはこれまでに無い新分子性超伝導系が存在している。これは次年度に継続して調べられる予定である。また以前より我々は多次元性分子性電導体合成の原料であるC【Se_2】を高圧下で反応させて得られる系が金属的となる事を見い出したが今年度、更に超高圧下(20Kb)で超伝導となる事が判明した。初期においては高圧下の反応でC【Se_2】分子が重合し(C【Se_2】)×黒色固体を作ると考え、既に推定されていた(C【S_2】)×ポリマーと同称な構造を持つと考え、新らしい無機ポリマー超伝導体が得られたと推定したのであるが固体のキャラクタリゼーションを進めた処C【Se_2】がC(グラファイト)とSe(主に三方晶Se)に変化している事が判明した。超伝導は固体中のSeによると思われるが超伝導転移の詳細については興味ある特徴が多く存在する。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 日本化学会速報誌(Chemistry.Letters). 1985. (1985)
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[Publications] 日本化学会速報誌(Chemistry.Letters). 1986. (1986)
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[Publications] 日本化学会欧文誌(Bull.Chem.Soc.Jpn.,). 59. (1986)