1985 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
60214001
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
牧田 章 北海道大学, 医, 教授 (60004561)
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Keywords | プロセシング / リソゾーム酵素 / アリルスルファターゼ / β-グルクロニダーゼ / リン酸化 / 糖鎖 |
Research Abstract |
リソゾームの加水分解酵素はそれ自体が糖蛋白質であるが、酵素の成熟過程で蛋白部分と糖鎖部分は全く異る機序によるプロセシングを受ける。我々はアリルスルファターゼBの研究において次の事を見出した。人癌では塩基性のB酵素(PI〜9)の他に酸性亜型【B_1】(PI〜7.5)が検出された。【B_1】は癌のみならず正常の人白血球でも認められ、癌特有とは云えない。【B_1】とBはPI以外の酵素学的諸性質及び抗原性に差違は認められなかった。従って【B_1】はB酵素が酸性基で修飾された亜型とみなし、次の実験によってそれを証明した。【B_1】をホスファターゼ処理するとPIが少し上昇するが、エンド-β-N-アセチルグルコサミニダーゼ処理で糖鎖を解離するとほぼB酵素と同じPIのスルファターゼに変換した。リソゾーム酵素の高マンノース型糖鎖は非還元末端がリン酸化型(成熟型)のプロセシングを受けることが知られており、上記の我々の知見は癌細胞や白血球では酵素糖鎖のプロセシング中間体が増加することを示している。その原因については今後の研究にまたなければならない。【B_1】酵素のリン酸化を直接証明するため酵素の【^(32)P】リン酸化実験を行った。【^(32)P】-リン酸を人癌を移植したヌードマウスに投与し、in vivo標識した【B_1】酵素を得て糖鎖と蛋白画分に分けた。糖鎖画分からマンノース-6-リン酸が検出され、上記の糖鎖リン酸化が実証された。他方、標識酵素の蛋白画分からも、リン酸化アミノ酸が同定されそれらは、リン酸化セリンとスレオニンであった。リソゾーム酵素の蛋白リン酸化は全く知られておらず新知見である。正常人肝の本酵素も程度は低いがリン酸化蛋白である事がわかり、癌化によってリン酸化が亢進すると見られる。糖鎖と蛋白のリン酸化はスルファターゼのみならず、β-グルクロニダーゼでも証明され、リソゾーム酵素の多くに共通した新しい修飾現象とみられ、他の酵素についても検索を進めている。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Biochem.Biophys.Res.Commun.126-2. (1985)
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[Publications] J.Biochem.98-3. (1985)
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[Publications] Tohoku.J.Exp.Med.145-3. (1985)