1985 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
60214004
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
広川 信隆 東京大学, 医, 教授 (20010085)
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Keywords | 細胞運動 / 色素顆粒 / 細胞分裂 / 微小管 / 微小管関連蛋白 / ダイニン |
Research Abstract |
微小管の関与した細胞運動には、鞭毛、織毛運動、染色体運動、色素顆粒の輸送、軸索流などがある。特に後3者は細胞質微小管を運動の基礎としており、共通した機構が存在すると考えられている。本件は色素顆粒輸送の機構という課題で申請したが、染色体運動の場である分裂装置微小管に我々は新しいかつ、興味ある構造を見い出し、その構造は染色体運動の機構、ひいては色素顆粒輸送の機構とも深い関連があると考え、本年度は分裂装置の構造に集中して研究を行った。 興味ある構造とは、分裂装置微小管の表面には規則的(六角配列)にボタン状の構造が結合していることである。このような構造についての報告は全くなく、分裂装置の機構を考える上で非常に重要であると思われる。ボタンはチューブリン分子の配列とも密接な関係があり、約11度の角度で右ラセンを描いて微小管に結合している。(1)分裂装置から微小管を再構成・分離すると分子量75KDの蛋白が多量に含まれてくること、(2)分裂装置および再構成微小管を0.6MNaclで処理すると、ボタンが消失するとともに75KD蛋白が描出されること、(3)ゲルロ過により精製した75KDはラット脳から精製した微小管に結合し、ボタンを形成すること等から、ボタンは75KD蛋白であることが明らかになった。分裂装置内にはボタンのほか、微小管間のクロスブリッジ、管小管の表面に付着した大型の粒子が観察された。この大型粒子はダイニンと考えられる。ウニ卵の細胞質ダイニンは、鞭毛ダイニンとよく似た性質を示す。分裂期に細胞質ダイニンは、分裂装置時、特に染色体に近い紡鍾体に局在することが蛍光抗体法により、また微小管に結合して存在することが金コロイドを用いた免疫電顕法により明らかとなった。染色体運動および色素顆粒輸送の原動力はまだ明らかになっていないが、細胞質ダイニンの局在は、その深いかかわりを示していると考えられる。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Journal of Cell Biology. 101-July. (1985)
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[Publications] Journal of Cell Biology. 101-Nov. (1985)
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[Publications] Journal of Cell Biology. 102. (1986)
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[Publications] Cell Motility. (1986)