1985 Fiscal Year Annual Research Report
セリン:ピルビン酸アミノ転移酵素のオルガネラ局在機構に関する研究
Project/Area Number |
60214015
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
市山 新 浜松医科大学, 医, 教授 (90025601)
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Keywords | アミノ転移酵素 / ミトコンドリア / ペルオキシゾーム / オルガネラ形成 / 細胞内局在機構 |
Research Abstract |
[研究目的] ラット肝臓のセリン:ピルビン酸アミノ転移酵素(SPT)はミトコンドリア(Mt)とペルオキシゾーム(Ps)に局在し、MtとPsのSPTは異なるmRNAに由来する。MtのSPTに対するcDNAクローンの単離には既に成功したので、本研究では、構造比較のため、PsのSPTに対するcDNAのクローニングとその構造解析を目的とした。 [研究実績] 1.cDNAバンクの作製及びスクリーニング:正常ラット肝ポリ(A)RNAを鋳型として、岡山・バークの方法によりcDNAバンクを作成した。コロニーハイブリダイゼーションはMtのSPTに対するcDNAクローン(pRspt10)のPstI切断による約900塩基対のフラグメントを用いて行った。いくつかの実験から、このフラグメントはPs-SPTのmRNAと相同性を持っことが示唆されていた。約12万の形質変換菌をスクリーニングした結果、制限酵素による切断形式がMt-SPTに対するクローンとは異なる2個のクローンを得た。 2.制限酵素地図の作製及び塩基配列の解析:この2個のクローンは長じ長さのインサートを含み、制限酵素による切断パターンも同じであったので、そのうちの1つ、pRspt216について詳細な制限酵素地図を作成した。それをMt型クローンのものと比較したところ、インサートの3′末端側半分はほとんど同じであったが、5′末端側半分はまったく異っていた。このことは塩基配列の決定(約9割完了)により更に確認された。すなわち、pRspt216の3′末端側約950塩基の配列は、間に62塩基の特異配列が存在すること以外は、Mt型クローンの3′末端側塩基配列と完全に一致していた。一方、5′末端側約850塩基については両者でまったく異なっていた。pRspt216はおそらくPs-SPTに対応するcDNAクローンと思われるが、現在その確認を行いつつある。
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