1985 Fiscal Year Annual Research Report
シトクロム酸化酵素によるH⌒チャンネル開閉と酸素還元反応とのカップリング機構
Project/Area Number |
60215017
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Research Institution | Okazaki National Research Institutes |
Principal Investigator |
北川 禎三 岡崎国立共同研究機構, その他, 教授 (40029955)
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Keywords | シトクロム酸化酵素 / 共鳴ラマン / プロトンポンプ / 電子伝達 |
Research Abstract |
チトクロム酸化酵素(CcO)は好気的生物の呼吸鎖末端酸化酵素であり【O_2】を【H_2】Oに還元すると同時に【H^+】をポンプする役を担う。本酵素は2個のヘムを含む。1つは【O_2】還元反応を触媒するヘムで、これを含む部分をCyt【a_3】と略記する。もう1つのヘムはチトクロムCより電子を受けとりCyt【a_3】にわたす電子伝達の役を担う。これを含む部分をCytaと略記する。【O_2】を1分子還元するのに4個の電子が必要である。そして電子1個につき1個の【H^+】がポンプされることがわかっている。本酵素の酵素サイクルのどの段階で【H^+】が汲み出されるかを明らかにするという目標の第1段階として、本年度はCcOの反応中間体を取扱った。CcOの反応中間体には、Cyta→Cyt【a_3】の電子伝達反応中間体と【O_2】→【H_2】Oの酵素反応中間体とがある。学会誌発表欄の第1番は前者、第2番は後者に関するもので第3番が両者のカップリング機構を調べるための研究である。第1の主題に関しては、まずCcOがレーザー光で光還元を受けることを可視吸収スペクトルで証明し、それが【O_2】還元活性をもつことを【O_2】電極で証明した。【O_2】存在下で光還元と【O_2】還元反応との定常状態にあるCcOの共鳴ラマンを441.6nmのレーザー光で観測するとCytaが、406.7nmのレーザー光で観測するとCyt【a_3】が見えることをまず示し、Cytaが【Fe^(2+)】,Cyt【a_3】が【Fe^(3+)】状態のラマンスペクトルを確立すると共に、Cyta→Cyt【a_3】の電子伝達の反応速度定数が0.5【s^(-1)】であることを明らかにした。第2の主題に関しては、ミクストフロー過度ラマン測定装置を製作し、一酸化炭素結合型Ccoと【O_2】飽和溶液とのミクストフローにレーザー光をあてて一酸化炭素を光解離して反応を開始させ、10〜100μsの時間帯にある中間体の共鳴ラマンを初めて報告した。第3の主題に関しては、電子伝達機能はもつが【H^+】ポンプ機能をもたないCcOをつくり出し、その共鳴ラマンを正常のものと比較したところ、Cyt【a_3】の鉄-ヒスチヂン伸縮振動のラマン線強度が酵素活性に敏感であることがわかった。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Biochemistry. 24-26. (1985)
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[Publications] Biochimica Biophysica Acta. 832-2. (1985)
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[Publications] Biochimica Biophysica Acta. 832-2. (1985)Biochimica Biophysica Acta.