1985 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
60216006
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
二木 鋭雄 東京大学, 工, 助教授 (20011033)
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Keywords | 脂質 / 不飽和脂肪酸 / 酸素酸化 / 過酸化脂質 / ビタミンE / ビタミンC / 抗酸化剤 |
Research Abstract |
高度不飽和脂肪酸,トリグリセリド,レシチンの均一系,ミセル系,リポソーム系の酸化反応を、連鎖開始剤を用いて一定速度で開始ラジカルを発生させながら行なった。酸化反応初期における酸化度を定量的に分析する方法について検討し、酸素酸化の第一次生成物であるハイドロパーオキサイドを化学発光法により高感度で測定できることを見出した。すなわち、ハイドロパーオキサイドと次亜塩素酸ナトリウムを反応させると直ちに強い化学発光が生じ、3分位で減衰することを認めた。リノール酸メチル,リノレイン酸メチル,ジリノレオイルレシチンなどのハイドロパーオキサイドについて検討した結果、それぞれについて、ハイドロパーオキサイド濃度と総化学発光量の間に直線関係が成り立つことを認めた。この化学発光法は、微量(〜100ナノモル)のハイドロパーオキサイドの定量的検出法として有効と考えられる。 水溶性のラジカル捕捉剤による脂質の酸素酸化反応に対する抗酸化作用について検討し、次の結果を得た。アスコルビン酸,尿酸,システイン,グルタチオンは、水溶液中のラジカルを速かに捕捉するが、ミセルおよびリポソーム膜内の油層にあるラジカルを捕捉することはできない。しかし、水層にあるアスコルビン酸と、リポソーム膜内のα-トコフェロールから生成するクロマノキシラジカルは反応してα-トコフェロールが再生され、両者は相乗的に抗酸化作用を行なう。 α-トコフェロールは極めてすぐれた抗酸化剤である、リノール酸メチルのペルオキシラジカルを5.1×【10^5】【M^(-1)】【S^(-1)】の速度定数で捕捉することを認めた。均一溶液中では、トコフェロールの2位の側鎖の有無、長さはその抗酸化能に影響を及ぼさないが、リポソーム膜への保持については側鎖が大きな効果をもつことが分った。トコフェロール同族体の抗酸化作用の差についても検討した。
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[Publications] J.Biol.Chem.260-3. (1985)
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[Publications] Bull.Chem.Soc.Jpn.58-5. (1985)
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[Publications] Chem.Lett.5. (1985)
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[Publications] J.Am.Oil Chem.Soc.62-12. (1985)
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[Publications] Biochim.Biophys.Acta.819-5. (1985)