1985 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
60216011
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
柘植 治人 岐阜大学, 農, 助教授 (80021715)
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Keywords | ビタミンB-6 / 栄養評価 / 血中B-6量の定量 / 生体利用率 / B-6-タンパク質複合体 |
Research Abstract |
食品を加熱や乾燥した場合、B-6の生体利用率が低下する事実が報告されており、その原因はB-6中の反応性に富んだ官能基とタンパク質中のアミノ酸残基等との縮合によって生じた複合体の生成のためであるといわれてきたが、実証されていない。そこで、本年度は、牛乳カゼイン、小麦グルテン、トウモロコシツェインをモデルタンパク質として選び、人為的にPLPとの共有結合化合物(PLP-タンパク質複合体)を調製し、ラットに投与し、成長曲線を描くことにより、その利用率を比較すると共に、飼育試験終了時に、ラットの心臓より採血した血液から血清を得、逆相HPLC法により分析し、PLP-タンパク質複合体中のB-6誘導体がいかなる形で血中に移行するのかを調べた。今回の飼育実験では、各々のタンパク質を25%含有する飼料を用い、その中に1.6mg%に相当する共有結合型B-6が含まれるようにした。飼育実験に先だち、各B-6-タンパク質複合体を6N-HCl中110℃、48時間の加水分解後、上記HPLC分析を行ったところ、90%以上がN-pyridoxyl-Lysineとして検出された。ラットの成長曲線から判断するかぎり、対照食(B-6フリーの各タンパク質+1.6mg%PN)との差はみられなかった。すなわち、共有結合性B-6を1.6mg%程度含有する飼料では、ラットの成育に影響はみられず、むしろ、与えたタンパク質の栄養価を反映する結果となッた。また、血清中のB-6分析からは、1.実験食の場合にも対照食中のPNと類似のHPLCパターンを与え、特に、今回予想したN-pyridoxyl-Lysineのピークは認められなかった。2.いずれの実験食でも、対照食と比較して、総B-6量の低下が認められ、なかでも特徴的なことは、PMPのピークが著るしく減少していることであった。また、グルテンを基本食として場合、PLP-Gluten及びB-6Free Gluten食でもPNのピークが検出された事実は注目に値する。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Agrio.Biol.Chem.50-1. (1986)
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[Publications] 日本農芸化学会昭和61年度大会(於京都). (1986)
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[Publications] 日本ビタミン学会第38回大会(於東京). (1986)